公式の「マニュアル」に基づきゲームシステムを丁寧に理解。「まず何をしたら?」の戸惑いに応える初歩のチュートリアル、本物の鉄道や実際の都市計画はもちろん、PCのカルチャーやヒストリーにも詳しくなれる豆知識つき。ゲームの進め方を「ひしめきあう街」~「混迷する交通都市EX」6つのマップで順番にマスターしよう。(最終更新:2024年11月21日)
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あわせてお読みください
- どんなゲーム?(2024年5月15日):都市開発鉄道シミュレーションとは・プレーヤーの役割(ロール)・行動(アクション)・目標(ゴール)
- A列車の誤解(2023年5月25日):「建物を建てれば乗客が増える」「黒字を削って法人税を減らす」「環状線を作れば万事うまくいく」の誤解を解く
- 攻略本について
- シナリオの難易度について
- ダイヤ設定
- マップ一覧
- 再現マップのための実在車両の使い方
- 製品情報
- バグ(2024年1月21日)
このページでは、16歳から20歳くらいまでの読者がひとりで取り組むことを念頭に、「公式ガイドブック」(全4冊)およびPS4版のオンラインマニュアルに忠実に従いながらゲームモード(シナリオマップ)を進めていく際の注意点を解説する。
※6歳から16歳までのプレーヤーに必要な配慮についてはこちら。
このゲームの持ち味は「複雑さ」「多様性」である。いろいろなものが複雑に関係しあう中で、ゲームを進めていくことになる。何か1つの「この車両を使えば最強!(必勝!)」「この子会社(物件)を建てれば大成功!(大きなしゃもじ)」といった「おすすめ車両」「おすすめ子会社」は存在しないと考えたほうがよい。1つ1つの車両をばらばらに見て「おすすめ車両」を探そうとするのでなく、このゲームでの「列車タイプの使い分け」という上位概念を獲得しよう。子会社についても同じだ。1つ1つの建物ではなく「産業構成比」をよく見るようにしよう。
もちろん、じぶんの「お気に入り」の列車や建物があるのは素敵なことだが、それはゲームの有利・不利とは別のことだと承知しておこう。車両や建物は基本的にどれを使っても問題なく、うまくいかないとすれば「適材適所」ができていないとか、「食べ合わせ組み合わせ」が悪いということを疑うべきだ。車両や建物が悪い(ゲーム内での性能や利益率が低い)という見方をしてはいけない。特に車両は、実在する鉄道会社の許諾を得て収録されたものだ。この車両は「あたりもう1本」だがあの車両は「ババはずれ」(邪魔者や厄介者あるいはオンボロ)だというような見方をするのは失礼すぎる。すべての車両に花を持たせようじゃないか。
ものごとを抽象化して考える(一段上から見る)のは大人でも難しいことではあるけれど、高校生以上ならできるだろう。本作には明示的な対象年齢は設定されていないが、ゲーム画面のメニューや「列車タイプ」の表示が英語のみになっている。ゲーム画面の英語は飾りではなく、ゲームを進めるために必須の情報(いわばヒント)だと思って、読み飛ばさないようにしよう。単語がわかればわかる程度だから簡単だ。それでも、小学生や中学生には『ただの模様』にしか見えていないかもしれない。繰り返しにはなるが、本作には明示的な対象年齢は設定されていない。しかし、英語でしか書かれていないものを、読めと言われるのを待たずに自分から読める必要があるのだから、高校生以上でなければ難しいだろう。
※正確にいえば、「列車タイプ」を選択して「購入」する車両を絞り込む機能のボタンと、「購入」「売却」画面での諸元の表示欄には「列車タイプ」が日本語で表示されているが、「購入」済みの車両の諸元をリストで見るとき(および「カスタム」)には「列車タイプ」が英語でしか表示されない。「特急列車」とそれ以外の見分けは車両の外観や名称、ゲーム外であらかじめ知っている事前知識に頼って行なわれてしまうので、このゲームでの「列車タイプ」の概念を無視してしまいやすい。「列車タイプ」そのものも、「通勤型」と「高速通勤型」があることから、単に速度が異なるだけと思ってしまいがち。さらに「マニュアル」を読んでも「最大乗車率」のことしか書かれていないので、単なる車両の諸元だと誤解する余地がある。なお、「購入」の画面での絞り込み機能には「急行列車」のボタンがなく「貨物列車」と「急行貨物列車」も1つにまとめられているので、この画面だけで「列車タイプ」について正しく理解することはできない。「列車タイプ」の「地下鉄」は、すごくよくわからない。
※オンラインマニュアルの「オンライン」とは、ウェブで公開されているという意味のほかに、古いWindowsでいう「オンラインヘルプ」の意味が混ざっている。Windowsでは、アプリケーションを使いながら「ヘルプ」を開いて、操作などの説明を読むことができる。この「ヘルプ」(※Windowsのファイル形式の1つとしての拡張子「.hlp」のヘルプファイル)は、現在のウェブと同じように「リンク」をクリックしたり「戻る」ボタンで戻ったりしながら読めるものだった。A列車で行こうシリーズの最初のWindows版は、1994年に発売されたWindows 3.1対応の「A列車で行こう4 for Windows」である。現行のPS4版でも「オンラインマニュアル」と呼ぶところに、本シリーズとWindowsの長い歴史が垣間見える。
Windows版「A列車で行こう9」のアップデートパッチは、自動では適用されないので、じぶんでメーカーの公式サイトからダウンロードして、管理者権限でインストールしよう。
「A列車で行こう9」を新しくインストールしたあと、アップデートパッチは、最新のものを1回だけ入れればオッケーだ。古いものから順に入れていく必要はない。なお、よほどの理由があってA9V4やA9V3など過去のバージョンを使う場合は、そのバージョンでの最終のアップデートパッチを入れよう。もちろんA9V5にするのがおすすめなのはいうまでもない。古いバージョンを使い続ける人があまりに多い(最新バージョンがあまり売れない)と、メーカーのバージョンアップへの意欲がそがれてしまうということも考えよう。A9V5で保存したセーブデータや創作ゲームをA9V4など過去のバージョンで開くことはできない。よほどの理由がない限り最新バージョン(現在はA9V5)を使うようにしよう。
本作にはバージョンアップのたびに追加されてきた59種類のマップ(ニューゲーム)と8種類のテンプレート(地形のみで線路や建物が未配置のマップ)があるほか、地形の自動生成で無限にマップを作成できるから、マップの種類(数)を気にする必要はない。用意されたマップを遊び終わったらすることがなくなってしまうゲームではないので安心してほしい。
ただ、59種類のマップすべてがゲームとしておもしろいわけではない。バージョンアップで新登場の車両や機能を紹介することだけが目的のマップもあり、そんなマップは見るだけでおしまいにするものだという暗黙の了解がメーカーとベテランプレーヤーの間にはある。PS4版の「ガイド付きマップ」も同じだ。ガイドを見終えたらおしまいにするものであり、これを延々とゲームとしてプレーしようというのはナンセンスだ。
59種類もあるマップの中からゲームとしておもしろいマップを見つけるのは難しく、リストの上から1つ2つを試して大いにがっかりし、すぐにマップコンストラクションモードへ移ってしまう人も多いだろうが、それはちょっと待ってほしい。本作がどのようなゲームなのか知るには、用意されたマップをしっかり遊んでみることが必須である。
本作はPCゲームだから、1台のゲーム機につきマップが1つきりだとか新しいマップにするにはこれまで遊んできたマップを泣く泣く消去しなければならないといった窮屈な制約はなく、いくつものマップを代わる代わる遊ぶことができる。保存できるセーブデータの数に上限はなく、同じマップについても複数のセーブデータを作って何通りも遊び分けたり、失敗したときに以前のセーブデータに戻ることもできる。
※別のマップで遊ぶときはWordやExcelと同じように「ファイルを保存する」「ファイルを閉じる」「ファイルを開く」という操作が必要で、少し時間がかかる。なお、本作に限らない一般論だが、ゲームのロードをたくさん繰り返しているとメモリのエラーで強制終了する場合があるので、心配ならゲームを再起動してからロードするとよい。ハードが熱くなったときはシャットダウンして冷ましてあげよう。
プレーヤーに人気があるマップは、A9V4の「ひしめきあう街」「砂浜とウォーターフロント」「川沿いにある街」、A9V3の「宵明けの大都」「空港連絡線は続くよ」、それに記念すべきA9V1の「大都市構想」「広域都市計画」「混迷する交通都市」「古都再興」などだ。まずはこれらのマップを遊んでみてから、それを参考にマップコンストラクションモードでマップを自作していくとよいだろう。
※ニューゲームにはバージョンの表示があるが、そのゲームを開くとそのバージョンの機能や車両しか使えないということではない。例えばA9V5でA9V1のニューゲームを開けば、A9V5の機能と車両をぜんぶ使って遊ぶことができる。「A列車で行こう9」をバージョンアップしたら、過去のバージョンのマップも改めて遊んであげよう。なお、「JR東海パック」ではマップの追加があったが、「建物キット」「車両キット」「DX」ではマップは追加されていない。
「攻略」と言うからには「ゴール」を見定めたい。このゲームに「ゴール」はあるだろうか。公式の説明では「資金10兆円」の達成を「クリア」としている。ただ、これを達成しても、開発者らの自己満足なエンドロールが流れるだけで、特にこれといった感想は残らないだろうから、やみくもに「クリア」を目指そうとするのは考えもの。公式の説明では「メガロポリス」を目指せとも煽っているが、本作のゲームシステムは「人口」を増やしさえすればよいというものにはなっていないことに注意が必要だ。
40社以上の鉄道会社設立に携わった渋沢栄一になりきってゲームモードでのびのびと、やりたいことをする。ゲームの中で30年ほどの時間を楽しむ。ここでいう「攻略」の定義はこれだ。
「クリアする」ことと「ゲームオーバーにならない」ことは別のことだと理解しよう。
1.は、どうしてゲームオーバーになったのかがわからないままゲームオーバーになる(ように見える)ことが問題である。遊び方がどうの、楽しみ方がどうのというレベルにも達しないままサヨナラである。こんな悲しいことが起きないようにするのを目指せば、ゲームの仕組み(ルール)がわかる。ニューゲーム(シナリオマップ)ごとに開始時のカレンダーの日付が異なるが、ゲームの中で12月31日が終わると「決算」となる(※「決算情報」を見よう)。その後「税金」を納めるわけだが、この「税金」を3回(つまり3年分)納めてびくともしない体制(※目指せ納税額の2倍の利益!:納税額と同じだけの資金が毎年増えてゆくよ)をつくることに注力しよう。
2.と3.の段階でゲームオーバーになることは構わない。どうしてゲームオーバーになったのかがぜんぶわかっているはずだからだ。そこで行なった「間違った施策」「行き過ぎた施策」をじゅうぶんに反省したのち、おもむろに1つ前のセーブデータに戻ってやり直そう。ここで何度も繰り返したり行きつ戻りつすることこそが「シミュレーション」である。何も恥じることはない。うまいやり方がわかったから次はうまくいく(⇒「感想戦」)。こうして秋の夜長はどんどんふけていくのであった。
※本作では、メインメニューから「ニューゲーム」を選択して開始する際に『難度』の表示があるが、これはシナリオマップの作者が比較的自由に決めた感じの、なんだかそういうゆるいものである。他社のゲームでいう「難易度」のように明確な定義(「必要レベル」や「必須アイテム」を挙げるなど)があるわけでなく、強制的にやさしいものから順番にプレーさせられる(スキップ禁止)ということもない。
もともと「攻略」という言葉は「敵陣に攻め入って奪い取る(略)」という意味の軍事用語。転じて、踏破が難しい土地や険しい山などに挑むことにも言うようになった。「略」という漢字には、「掠」という漢字にあった「奪い取る」という意味のほかに、「奪い取った領土を経営する」という意味や、「筋道を立てた計画」という意味が加わっている。そこからさらに「省く」「あらまし」という意味が出てきている。非常に歴史を感じさせるロマンのある漢字だ。本作は戦国武将が陣地を争うゲームではないが、マップの地形をつぶさに観察して戦国時代のようすを想像してみるのはプレーヤーの自由だ。その土地がどのようにして現代の都市になるのか「シミュレーション」する楽しみといえる。
本作をプレーする中で、マップの地形に着目する必要のある場面がいくつかある。
低年齢のプレーヤーの中には、地形を無視してジェットコースターのような線路を引いてしまったり、すべての土地を平地にしてしまったり、テンプレートの「平地」しか使おうとしなかったりするなど、(大人の目で見れば)極端なプレーをしてしまう人もいるようだ。逆にいえば、マップの地形を観察して味わうためには、それなりに年齢を重ね、いろいろな勉強もしてきていることが必要なのだとわかる。平面ではなく立体の空間把握能力も必要である。ツボや茶碗を鑑賞する手つきでゲーム画面では視点(カメラ)を自由自在に回転させて、マップの地形を立体的に把握しよう。これは、職業的な技能でいえば3次元CADの技能だが、あくまでゲームなので身構えずに楽しめばよい。
本作に用意されているニューゲーム(シナリオマップ)は、タイトルやテーマがマップの地形と深く関係しているものもあれば、ほとんど関係がないものもある。タイトルや「このマップの解説」をよく読み、「サテライト」でマップ全体の地形(地勢)をよく見て、どのようにゲームを進めていくのかを考えよう。マップのテーマは、タイトルや「このマップの解説」のような文章のかたちで書かれるより前から、地形というかたちで目の前に提示されているととらえることもできる。マップの地形を味わうことこそが本作最大の醍醐味であるとすれば、マップコンストラクションモードの「地形の自動生成」で無限にマップを生成して楽しめるので、本作には本当に「終わり」がないといえる。
市長になって都市を運営するシムシティ他社有名ゲームとは違って、「A列車で行こう9」は「予算」を「消化」するゲームではない。「資金」は原則として増やすものだ(減らさないようにするものだ)という感覚を身につけよう。ゲームモードでは、絶対に「資金」をゼロやマイナスにしてはいけない。「資金」の増えた分を使ってしまっては元も子もない。「資金が増えたら何かしよう」という考えをやめよう。「多少は赤字でもいつか[いつ?]は解消できる(リスクを取る自分カコイイ!)」などという甘い考えは禁物だ。「赤字=ゲームオーバー」と思ってほしい。
ゲーム内でしたいことやすべきことがあれば、そのための費用を見積もって、その額になるまで「株」を売買しよう。現実の鉄道の新線も、(鉄道会社などの)『貯金』や(自治体や国などの)「予算」で建設するのでなく、借入や債券の発行によって「資金調達」して行なわれるのだ。
「資金10兆円」(クリア)を目指す場合※も、必要になるのは「何もしなくても資金が増え続ける」(=マウスから手を離してぼーっとしていても資金が増え続ける)仕組みを作り上げることなのだ。決して「株取引」をたくさん(何回も=じぶんでマウスをクリックして)すれば「資金10兆円」に到達できる(「株」のほかに何を工夫しても無駄だ⇒このゲーム自体がナンセンスの極みだ)などと考えてはいけない。「A列車で行こう9」というゲームは、このゲームに向き合うあなたの態度をあぶり出すゲームなのだ。
【豆知識】なぜ「10兆」?:通貨型で「-922,337,203,685,477.5808~922,337,203,685,477.5807」の値が扱えるから。…あれ? 922京じゃないの? 「資金10兆円」は何ビットですか。このゲームで可能な費用や売上の最大はいくらで、単年度の決算で必要な桁数は最大いくらですか。マップコンストラクションで日付をいじり(進んでは戻し、進んでは戻し)ながらずっと同じ年度で費用や売上が累積するとあふれませんか。
※「資金10兆円でクリア」には「打ち止め」という意味しかないとすれば、そんなものを目指すのはばかばかしい。
「人口」を増やしさえすれば「税収」が増えるシムシティ他社有名ゲームとは違い、「A列車で行こうシリーズ」では「乗客」として「列車」で運んで「運賃収入」を得るまで、1円の収入もないのだ。
マップ全体の「人口」は、マップの開発状況を示す目安に過ぎない。一方、「資金」の額(※画面下部に常時表示される現金だけの額=保有する建物・車両・株式の評価額は含まない)は、プレーヤーであるあなたの采配を如実に反映する数字と言える。「人口」がいくら増えても、きょうあすに資金が底をつくというのでは元も子もない。(※そのように大事な数字だからこそ画面下部に常時表示される。)
もちろん、「人口」の数字にも意味はある。「産業構成比」のバランスが取れていないと、建物の多さに対して相対的に「人口」が少ない(目減りした)状態になる。この状態では、どの建物からも少なめの「乗客」しか発生せず、建物の多さが運賃収入につながらないという鉄道会社としては危機的な状況なのだ。
建物は、(その建物やマップやプレーヤーの鉄道会社が)赤字だろうと不景気だろうと列車が発着しようがしまいが、建っているだけで一定の消費電力を使ってしまう。「消費電力」は、建物ごとに固有の値が与えられている。ゲームの中で、建物の外観や名称はいろいろだけれど、プレーを進める上で意味を持つのは「消費電力」なのだ。
「人口」の数字は、空室率や失業率のようなもの(経済活動の「活性度」?)を抽象化して示している(空室率や失業率という言葉は使わないけれど、だいたいそういう意味合いのことを表わしている)とも言える。「人口」の数字は、これを単独で見て友達と比べあったりするものではなく、「産業構成比」や「消費電力の合計」と見比べて、相対的に多いか少ないかを見ていくものである。友達と比べて「消費電力の合計」が同じくらいのマップなのに、むこうは「人口」が多くてこちらは少ない、といったことがあれば、こちらのマップでは「産業構成比」に改善の余地があるということだ。マップに建物がたくさんあるのに「人口」が少ない状態は、発電量のむだづかいをしているに等しい。マップ内での「消費電力の合計」を押し上げながらも、列車にはなかなか乗ってくれないのである。人々が建物にこもって何をしているのかは知る由もない。
※「建っているだけで一定の消費電力を使ってしまう」:そういう契約だということで、実際には使っていないかもしれない。次期バージョンでは「契約アンペア」と「実際の使用電力量」を分けてシミュレーションしてほしいものだ。そうすると「水力発電所」の実装も見えてくる。
いわば関数 | ⇒ | いわば解 | ||
---|---|---|---|---|
定数 (固定の値) | × | 係数 (可変の値) |
||
建物ごとの 「消費電力」 「最大乗客数」 (どんな建物なのか) |
マップ全体の 「産業構成比」 「消費電力の合計」 (どんな建物をいくつ建てたか) |
マップ全体の 「人口」 |
||
ゲームの作者が与えた 変わらない数字 |
プレーヤーのあなたが 変えることができる数字 |
結果として 出てくる数字 (見るだけ) |
「産業構成比」のバランスを取るためには、駅から離れた土地も大いに使って、不足気味の産業の建物を増やすよう努めたい。駅の近くには高層や商業など、駅から離れるに従って低層の住宅や工業などの建物が建つという、現実と同じような開発をすれば問題ないはずだ。もし、すでに「産業構成比」が極端に偏ってしまっている(単独で35%[要出典]を超えるものがある)なら、他社の建物の「買収撤去」や、道路や駅を配置しなおして街を作り直す「区画整理」や「再開発」という荒療治が必要になるかもしれない。
※この「産業構成比」のバランスを取る難しさは「資金」とは関係のない難しさであるので、序盤・中盤・終盤のそれぞれで工夫が求められるほか、マップコンストラクションモードでも直面するものである。
「A列車」は「時間どろぼう」と呼ばれることがある。だが安心してほしい。「時間どろぼう」に先んじて時間を制すれば「A列車」はこわくない。プレーヤーがまず最初にやることは「ゲームの中で流れる時間を支配すること」なのだ。3連休を有意義に使って計画的にプレーすべく、プレーにかかる標準的な時間を知ろう。3連休だからといってだらだらとプレーするのでなく、ゲーム内の時間を「序盤」「中盤」「終盤」に区切って考えれば、すべきことがおのずと見えてくる。
現実の建物は2時間半で47年で資産価値がゼロになる。これにあわせて50年くらいの耐久性で造られている。このゲームでは「老朽化」の概念がないけれど、ふつうのプレーではゲーム内の45年目にはすることがなくなっているだろう。ちょうど、現実の建物の新築から建て替えまでの1サイクルを体験する長さのゲームだと思えばよい。この感覚に照らすと、ゲームのマップに最初から建っている建物の築年数が最大でも15年くらいで、ゲーム内で30年進めたときに、最も古い建物から順に建て替えの時期を迎えるというイメージだ。「老朽化」の概念がないことを不自然だと感じる必要はない。
3連休で遊びきれる遊び方をして、ある程度、その都度「完結」の遊び方をしよう。早送りで「300年」進めるなど極端なプレーはしない。一方で、早送りにしてこそ見えてくる動きもある。早送りにしている間に進む「自動発展」もよく眺めて楽しもう。早送りにしたまま放置して寝てはいけない。あなたが休む時はPCも休ませよう。
本作では、ゲーム内で「30年」も進めれば、プレーがうまくいったのかそうでないのかが、だいたい見えてくる。「あとン年くらい続ければたぶん軍資金が増えて…」などとだらだら続けない。きちんと終わりにして、丁寧に振り返るべきである。同じニューゲーム(シナリオマップ)を最初からやり直すほうがずっと楽しい。また、ニューゲーム(シナリオマップ)のほとんどは「時間拡張60倍」以上(ゲーム内の時間が速く進む)に設定されており、ひと通りのプレーにかかる時間はさほど長くはない。マップコンストラクションを中心に遊ぶユーザーとは異なる時間の使い方が、ゲームモードにはあるのだ。
※ゲームのセーブデータやプレイ動画を後生大事にする態度には感心しない。作ったものを眺め続けるのでなく、いつでも作れる、次はもっとよくできる、という技能や知識がじぶんのものになっていくことが喜びなのである。言い換えれば、自分でも2度と作れないとか作りたくないというような面倒なことをして作ったものは自慢にならないと心得るべし。正しく楽をすることと品質を安定させるのがプロの態度だ。
同じマップに競争で取り組むときには、30年目の時点での「決算情報」やその他の数字を競い合うのがよいだろう。「30年」では難しい場合は「45年」や「60年」にしてもよい。ただし、「30年」より短くしたり「60年」より長くするのはやめておこう。ゲームの中で「自動発展」が進む速度が意外と遅い(そこを無理に早めるとプレーが破綻する)ことも考えて、やはり「30年」がちょうどよいのだ。また、現実の鉄道の政策や計画は「15年」単位で動く。一般的な経営計画は「5年」単位だが、鉄道で「5年」は短すぎる時間なのだ。本作は鉄道が本業のゲームなのだから「15年」単位で期間(期限)を定めたい。
施策 | 目標 | 期間 | |
---|---|---|---|
序盤 | 線路を引こう | マップ全体をよく計画して路線網を完成しよう | 1~5年目 |
自動発展を進めよう | 自動発展が進む電力供給率を維持しよう | 6~15年目 | |
中盤 | 16~25年目 | ||
発電所を増やそう | 発電所を黒字にできるだけの電力消費を確保しよう | 21~30年目 | |
終盤 | 自社物件を持とう | 自動発展が収束したら調整区域で保護して、 さらに自社物件を建てて電力消費を増やそう | 31~60年目 |
プロジェクトに取りかかろう | プロジェクトを黒字にできるだけの人口を達成しよう |
すべてを思い通りにしようとしないで自動発展に頼ろう。自動発展と自社物件は電力を奪い合う。自動発展を進めたい段階のうちは自社物件を極力つくらない。自社物件は自動発展をあらかた終えてから、マップの仕上げとしてつくるのがよいだろう。
マップ内をいくつかの開発エリアに分けて段階的に取り組むときは、エリアごとに「序盤」「中盤」を考えていこう。ただし「終盤」はマップ全体で考えるべきもの。「終盤」でつくりたい巨大な建物があるときは、「序盤」のうちに「保護区」を設置して用地を確保しておこう。
ゲーム内で鉄道施設や建物を建設する費用は何年目でも同じ額だが、「用地費用」(地価=土地の値段)はゲームが進むほど上昇一方。必要な施設はなるべく地価が低い最初のうち(序盤)に造ってしまおう。駅や建物を建てることによっても地価が上がるので、本当に必要なものだけを建てよう。なお、線路には地価を上げる効果はないので、安心してたくさん引こう。ゲームは「一時停止」しておこう。
このゲームでは線路の資産税は免除されている。鉄道用地をキープする意味で多めに線路を引いておくのも有効だ。線路を撤去してから駅や車庫などを建てる時には、その時点での地価に応じた「用地費用」がかかるが、「他社」の建物や道路を撤去する費用と比べれば格段に安い。一方、線路にポイントを追加するだけでも新たにその時点での「用地費用」がかかるので要注意だ。どこにどんなポイントが必要かをよく見定め、これも序盤のうちにほぼ完成させておくのが望ましい。
また、駅には資産税がかかるが、その基準となる評価額は一定(駅の建設費に基づく=豪華な駅舎で番線数が多ければ高い)で、地価高騰の影響を受けない。駅の周辺がどんなに発展しても駅にかかる資産税は一定なので安心だ。なお、駅の大小などによって変わるのは建設費・用地費用・維持費・資産税だけだ。駅を大きくすると乗客数が増えるということはなく、駅が小さいと周囲が発展しないということもない。(「駅の影響範囲(緑色の円)」の半径や効果は、どんな駅を建てても同じ。ホームを長くしたからといって集客範囲が広がるわけではない。)
1両 | 「単行」という 非常に特別な運転である |
---|---|
2両 | ふつうの気動車や支線の電車 4両のホームに2両分の屋根! |
3両 | ホームの屋根が3両ぴったりついてくれるので 井の頭線のようなふいんきを演出できる |
4両 | *THE・ふつう* |
5両 | かなり特別な編成 実際に5両編成の水戸線や成田線などの表現に! |
6両 | *THE・ふつう6* ~デラックス~ |
7両 | JR西日本のふいんき |
8両 | 私鉄のふいんき そこらの通勤電車なんでもゲーム内では8両でいい気がする |
9両 | 実際に9両編成の特急列車をそのまま表現したいとき |
10両 | 貨物列車や特急列車に! |
ホームの長さは、停車させたい列車の長さ以上である必要がある。デフォルトの「6両」の長さで駅を建設すると、「7両」以上の列車は停車できず、「ダイヤ設定」に関わらず通過する。本作ではホームの長さの最大は「10両」だったが、A9V5からは「連結」という新機能に対応して「20両」まで可能になっている。「連結」した列車の場合は、長いほうの列車の長さ以上のホームの長さがあれば停車できる。例えば「6両」と「4両」を「連結」した列車の場合、ホームの長さは「10両」ではなく「6両」で停車できる。「連結」で「20両」の貨物列車を楽しむ場合も、操車場の長さは「10両」で足りる。なお、残念ながら横須賀線・総武線快速の『短い11両』は本作では楽しむことができないのであきらめよう。
本作では駅のホームの長さごとにホームの屋根の長さが独特な感じに変化する。ゲーム上は特に意味はないが、屋根のない部分が長くて雨の日はホームでも傘が要るのも1つの情景であり、ホームの長さを単なる数字と思わずさまざまな表現に活かしてゆくとよいだろう。
「自動発展」は本作に特有の呼び方だ。ほかのゲームでいう「NPC」や、レトロゲームでいう「CPU」「COM」のこと。つまり、建物を建てようとするのは自分(プレーヤー)だけではない。土地や資材は競争で奪い合いなのだ。
【豆知識】「A列車で行こうシリーズ」の「資材」は、都市や経済に関するさまざまな「需要と供給」の関係を抽象化した表現である。見た目の通りに見て「コンテナが運ばれてゆく」「コンテナのテクスチャが(ry」「いきなりコンテナが湧いてくる」「いきなりコンテナが消える」などと受け止めるようではお子さまもいいところだ。DS版では「鉱床」という明示的な表現が追加されたが、これはかなりの子ども扱いである。本作はプレーヤーを大人扱いしてくれているといえる。
いくつかのニューゲーム(シナリオマップ)では、開始後に発電所の新設や増設が必要になっている。このようなマップでは、「序盤」に確かな経営体制を確立したのち、資金と資材を貯めながら発電所の建設に取り組むのが「中盤」である。
そもそも発電所の新設や増設は、発電量が大きく不足している場合に行なうもの。必然的に、新しい発電所の建設直後には発電量を余らせることになる。これでは電力会社が大赤字に転落してしまう。新しく得る発電量をどのような産業に使わせるのか、一定の目途をつけてから着工したい。当面は資材工場を増設して発電量を使っておくのも手だ。このように「発電所どうあるべきか」を中心の課題に据えることを「発電所マター」と呼ぶ。「この話の主役は発電所ですよ」「何がどうなるも発電所しだいですよ」という意味だ。
資金にも発電量にも余裕が出てくる「中盤」では、マップの全域をよく見渡して、鉄道の空白地帯を減らしていこう。ただし、全域を同じように開発してしまってはメリハリがない。市街化させるエリアと、市街化を防いで農林業のために使うエリアの線引きをしておきたい。市街化させるだけが都市計画ではない。市街化させないエリアを確保することも都市計画のうちなのだ。電車に乗ってしばらくすると田畑が見えてくる。これが本当に大切なことなのだ。朝令暮改を脱して都市計画をフィックスしていくことがマストである。エビデンスに基づいて安定の成熟都市を目指そう。
なお、発電所は「A列車で行こう9」で初めて登場したシリーズ最新のゲーム要素である。旧作からシリーズに親しんできた諸兄には、なじみのないものだ。「A列車で行こう9」で発電所という新要素に向き合うときは、歴戦の古参プレーヤーも新参のプレーヤーも対等である。ときに発電所はプレーヤーに牙をむく。こころして臨みたい。
「A列車で行こう9」で地下鉄や新幹線は大都会のシンボル。ゲームの終わりごろ「終盤」に楽しもう。
地下鉄駅は、地上の土地を使い果たしてしまった「終盤」に、地下空間を活用して新たな楽しみを見つけるために使おう。地下鉄駅は建設費用・維持費ともに割高なので、まずは地上や高架の駅を使って自動発展を進めよう。
地下鉄駅には、乗降客数に応じた長さの「地下街」ができる(乗降客数が減ると地下街も短くなったり、完全になくなってしまったりする)。地下街は建物の基礎(※土地が平らでないときにできる)と干渉するので位置関係に注意しよう。地下街ができる空間を(地下につくる)資材置場や他の線路などでふさいでしまわないようにしよう。なお、地下街はまっすぐ延びるだけで、曲がったり枝分かれしたりはしない。深さが異なる地下鉄駅があれば、地下街と地下街を立体的に重ねることができる。
※念願の地下室で趣味に没頭地下空間はロマン。1日の乗降客数が40000人余りとなった地下鉄駅で、地下街は8ブロックになった。そのあと45000人を超えたとき9ブロック目の地下街ができた。1日の乗降客数5000人ごとに1ブロック延びるようである。
※「地下鉄駅では自動発展できない」とは、正確には地上の土地の地価を上げるはたらきがないらしいということ。他の駅やバス停によってすでに地価が少し上がっていればいくらかの建物が増える。資材置場の周囲も、資材置場をつくっただけで地価が上がるので、その分だけは建物が増える。建物が建ったことによっても地価が上がる。このため地下鉄駅だけでも自動発展するように見えるが、地下鉄駅にべらぼうな乗降客数を計上したからといって、それに見合う自動発展が地上で起きることはない。オンラインマニュアルにも公式ガイドブックにも明確な記述はないので詳細は不明だが「地下鉄駅では自動発展できない」と思ってよいだろう。【訂正】
完成後にずっと損益が発生するプロジェクト(※ただし撤去はできる)は、マップの「人口」によっては大赤字になる場合がある。「人口」がこれ以上は増えないという「終盤」を迎えてから着手しても遅くないぞ。逆に、建設費用が1度かかるだけであとは一切、費用がかからない「新幹線駅誘致」(※ただし着工すると中止も撤去もできない)は、発電量と資金に余裕があれば「序盤」から着工してもオッケーだ。
本作におけるマップの広さは、ゲーム内の建物の大きさを基準にしたスケールでいうところの「10km四方」(東西10km×南北10km)だ。「10m×10m」を1マスとするマス目(グリッド)で数えると、横にも縦にも1024マスずつある正方形のマップだ。
一方で、まっすぐな線路に高速な列車を走らせると、あっという間にマップの端から端までを走破してしまって、マップが狭く感じられる。旧作ではマップが正方形とは決まっておらず、細長いマップで長い線路を楽しむこともできたが、「A列車で行こう9」ではマップは正方形に固定なので、これはあきらめよう。列車の速度をむやみに高くしなければ、それなりに遠くまで走っている感じを演出できるだろう。
マップからマップの外に向かって線路や道路をつなぎ、列車や自動車を行き来させることができるマップ外接続(隣町)も使って、マップの外まで線路が続いている感じを出そう。
(この図はNMPC-L64で編集可能です=図をクリック!)
ゲーム内で鉄道施設や建物の配置を考えていくために、「A列車で行こう9」では3種類のグリッド(マス目)が用意されている。
それぞれのグリッドは、使う目的が違うので、細かさも異なっている。グリッドを使い分け、それぞれの場面に適した細かさで考えていこう。大まかなことや全体を最初に考え、細かいことは後から見ていこう。
本作では、線路・道路・建物の向き(回転)は「22.5°」単位で行なう。線路の向きは8方向(※列車が進む方向としては16方向)にしか変えられない。やや厳しめの制約だ。
現実の街をモデルにしてマップを作ろうとしても、線路・道路を現実の通りには引けない。現実の地図を無理になぞって引こうとすれば、斜め方向にはジグザグに進むことになってしまう。ここは素直に、ゲーム内で引ける通りに無理なく引きたい。
なお、マップの地形データはマス目(グリッド)に支配されるので制約はさらに厳しい。線路や道路にあわせて築堤や掘割をつくるときは「90°」単位となる。特定の向きに限って「45°」の向きでも斜面の地形(※「三角錐」となる地形)ができるが、実用性はほとんどないだろう。
地形データの編集や建物の建設では高さを細かく扱えるが、線路・道路については、1ボクセル単位(スケール「2:1モード」では20m、「1:1モード」では10m)となっている。平面交差(※交差点や踏切を含む)と立体交差をつくり分けやすくするねらいだろう。しかし、隣の線路と0.5ボクセル(「1:1モード」で5m)や0.25ボクセル(同2.5m)の高低差をつけたいとか、そういう微妙な高さの築堤や高架橋にしたいといったことができない。駅については「地下鉄駅(ドーム型)」のみ高さが2ボクセルにまたがる(=天井が高い)。「高架駅(屋根付き)」も2ボクセルの高さで大きな屋根にしてほしかったところだ。同様に、高さが2ボクセルにまたがる円形の複線トンネルや大型の複線トラス橋の実装が待たれる。
なお、地形データの標高は「-80m」から「240m」まで扱える。水深が浅いところでは海底(川底)にトンネルを通すことも可能だ。「ハイトバー」を使いこなそう。旧作とは異なり標高「0m」のままで水面の上に橋を架けることができる。ただし、水面は「0m」以下に低くしたところにしかできず、山の上にダム湖を造りたいというルアーでアウトドアな(?)諸兄の夢はいまだ叶っていない。潮の満ち引きや天候による増水それに橋脚の工事に適した渇水期などが表現されていないだけでなく、水面の流れる向きがマップ全体で固定である。正確には流れがなく、その場でちゃぷちゃぷと揺れているだけである。グラフィックとしても、橋脚の形状が水中には適さないものになっているのが難点だ。
本作でいう「10km四方」は、あくまで建物のスケール。列車の速度の表示は、このスケールとは別のスケールに従う。
ゲーム内の建物の大きさは、現実には巨大なものを適度に小さく、現実には非常に小さいものをやや大きくするデフォルメがなされている。建物の大きさを『粒ぞろい』にしてプレーしやすくするねらいだろう。リアルな景観にこだわるときは、小さく見せたい建物は遠くに、大きく見せたい建物は近くに配置して、遠近感を自在に操ろう。体感的な列車の速度も、列車から見える建物の距離や配置で大きく変わる。建物がまばらになって田畑が点在するエリアを通る、といったようなことによっても、体感的な距離を長く感じさせ、それによって列車の速度も高い(遠くまで行く)と錯覚させることができるだろう。
一方、ゲームのプログラム上の厳密な列車の移動の速度についてはどうなっているだろうか。わかりやすいのが列車の運行費用だ。ゲーム内の列車の速度の表示でいう『90km/hで1分間に進む距離』(速度のスケールでの「1500m」)ごとに運行費用が加算されてゆき、駅に停車したときに「1500m」に満たない端数の長さ分の運行費用があれば加算される。「公式ガイドブック」の「列車カタログ」では、便宜的に『90km/hで1時間走ったときにかかる運行費用』が示されているようである。この(列車にとっての)「1500m」は、マップの広さ「10km四方」でいう(建物や線路にとっての)1.5kmとは異なる。
別の言いかたをすれば、「A列車で行こう9」には2種類のデフォルメが共存している=建物のデフォルメと速度のデフォルメは別々である、といえる。ほぼ同じことが鉄道模型の速度計(※電圧計)でも起きるので、鉄道模型をすでに楽しんでいる諸兄であれば、そういうことかと納得していただけるはずだ。
※ゲーム内の列車の速度計でいう「90km/h」が現実の電車の「90km/h」の速度感を正確に模しているかは確かめようがないが、「A列車で行こう9」というゲームの中では、車両(列車)の体系化を「90km/h」を単位にして考えてある気配がある。現実にはない「(90×2=)180km/h」という最高速度のオリジナル車両があったり、「85km/h」までは「通勤型」で「90km/h以上」は「高速通勤型」という分け方になっていたり、「カスタム」の上限が「(90×4=)360km/h」にされているなど。なお、速度を「5km/h」単位で扱うのは現実の通りである。一方、現実の電車の速度感は架線柱の間隔やレールの継ぎ目で体感されるが、ゲーム内では架線柱の間隔が現実の通りにはできないほか、走行音の実装が非常に雑なので、そもそも速度感がよくわからない映像になってくる。
「駅間距離」は、「座標」を使って測ろう。サテライトのグリッド(1kmごとの目盛り)を目安に目分量で把握してもよいが、斜めの長さはわかりにくい。「A9V2」のアップデートパッチで追加された機能として「カーソル位置のマップ座標を表示する機能(P+Bキー押下)」がある。これで座標を調べれば、数学で習う2点間の距離の公式を使って計算できる。発駅と着駅やマップ外接続の地点など、距離を知りたい2つの地点の座標をそれぞれ読み取ろう。
※なお、コンピューターのプログラミングでは伝統的に画面の左上を原点(0,0)とする。「A列車で行こう9」のマップ座標も左上が原点だ。縦方向の座標は、上から下(北から南)に向かって進むほど数字が大きくなるので戸惑うかもしれないが、そういうものだと思ってほしい。これは、コンピューターの画面に左上から右へ横書きで文字を表示するときに都合のいい座標なのだ。「10m×10m」のマス目で1024マスというのも、2の倍数や8の倍数を使うコンピューターならでは。16,800円もする高尚なコンピューターゲームでは100や1000より256や1024のほうがキリがいいのだ。
【昔ばなし】どうぶつの森他社人気ゲームで斜めの橋を架けるとおしゃれとされる。ゲームのマップ内をどんな向きにでも歩き回れることは、いまとなってはふつうである。しかし、大昔の「A4」やDS版などでは、列車の移動がマス目で考えられていた。列車のグラフィックが1ピクセル単位でぬるぬる動く、なーんてことができるわけもない時代。列車が現在いるマスから隣接のマスへ、天突きで押し出されるところてんよろしくマス目単位で飛んでいたのだ。斜めの移動は、斜め先のマスへ飛ぶという実装だった上に、ゲームのプログラム上の距離などの計算がおかしいということもあって、プレーヤーは斜めの線路を何か特別なものと思わされていたのだった。子どものうちに3Dで360°ぐりぐりというグラフィック(視点の移動や操作)に親しんでいないと「A列車で行こう9」は(空間の把握や、その中での柔軟な線路の引き方などへの習熟が)難しい。若いひとには想像もつかないだろうが、せっかくの「A列車で行こう9」を「A4」のようにしか遊べていない年寄りがいるかもしれないと思っていただくとちょうどよい。埋めようも隠しようもないジェネレーションギャップの1つである。
単に「駅間距離」と呼ぶだけでは、以下の2種類の長さのどちらを指すのかわからない場合があるので、正確な呼び方も知っておこう。
本作における列車の運行費用は、速度は関係なく、走った線路の長さ(道のり)だけに比例する。同じ列車(車種・編成両数)を走らせる限り、運行費用のかかりかたは同じだから、「Train」ウィンドウに表示される「運行費用」(※ただし1時間ごとにかかる維持費も合算で表示)の数字をそのまま(※ただし維持費は引いておく)、線路の道のりの長さを表わす数字だと思って使ってよい。
ゲーム内で列車が走った距離を「時間」を計って求めようという考えは捨ててほしい。発車と停車の加減速(※いきなり動いたり停まったりするのでなく速度がなだらかに変化すること)や、曲線・勾配での減速(-10%)があり、さらに速度制限標識も使うかもしれない。列車の速度はふらふらと変化するので「時間」を計っても距離は求めようがないのだ。そんなことをしなくても運行費用の数字が正確な距離を反映しているから、この数字をそのまま使えばよい。
※なお、「A列車で行こう9」の列車の加速が曲線(2次関数=摩擦を考慮したリアルな加速)ではなく直線(1次関数=速度aから速度bまで直線で加速する加速)なのが残念である。車両の3Dオブジェクトを移動させる最小単位があまり小さくないらしく、加速を2次関数にすると端数が出て移動がきくしゃくしてしまうのだろう。現に、車窓モードで速度が異なる列車と並走するとぎくしゃくして見えてしまう。「A9V4」までの車窓モードでは「フライトモード」や「プレビュー機能」でのカメラの動きに備わっていた慣性と同じ実装で動き始めと終わりをなだらかにしてあった(例えば停車時は、速度計がゼロになっても少し動き続けてから停まっていた)が、PS4への移植を経ての「A9V5」では省略されてしまった。
列車の運賃収入については、このサイトの「単回帰分析」のページを見てほしい。
(この図はNMPC-L64で編集可能です=図をクリック!)
本作における駅は、中心(改札口)から半径400mの円内にある建物から乗客を集める。他の駅と円が重なっていると乗客は奪い合いに。円の外にある建物からは乗客を集めることができない。円内でも、中心から離れるほど乗客を集めにくくなってしまう。乗客発生が多い大きな建物は、駅の至近にあるとよい。
「Option(オプション)」メニューの「データ表示」から「駅の資材有効範囲を表示する」をオンにしておこう。「駅の資材有効範囲(資材を出し入れできる範囲)」と「駅の影響範囲(乗客を集められる範囲)」は同じで、駅の周囲に表示される緑色の円の内側が、資材も乗客も扱える範囲だ。なお、高さについては±30m以内となっている。高架駅や地下鉄駅と、高台にある建物などの位置関係によっては高さもじゅうぶんに注意したい。
そもそも、列車という大がかりな乗り物を走らせるからには、発駅と着駅がしっかり離れていないと意味がない。2つの駅の緑色の円が重なるときは、駅間距離が短すぎる。円が重ならない位置まで離そう。円と円が接するとき、駅間距離は800mとなる。これよりも短い駅間距離にはしないようにしよう。
適切な駅間距離の取り方として、緑色の円を使うほかに、サテライトのグリッド(1km)を参考にしてもよいし、マップ座標を表示して距離をじぶんで計算してもよい。ただ、駅をつくってしまってから駅間距離を調べるのでなく、先に駅間距離を大まかに決めてから駅の位置を考えるほうが正しいやり方といえる。
駅間距離は、短すぎるのはダメで、長いほうはいくらでも長くてよい。例えば、マップ内に駅を1つだけつくり、その駅からマップ内で長い距離を走り、マップ外(隣町)につながる(隣町の駅との間を往復する)というのもいい。隣町も駅だと考えよう。隣町までの距離(隣町の駅との駅間距離)も長いほうがいいのだ。
駅間距離に応じて「通勤型」「高速通勤型」「特急列車」などの列車タイプを使い分ける必要がある。距離が長い駅間には、速度が高い、上位の列車タイプを選ぼう。売上だけでいえば長距離の「特急列車」を走らせるだけで非常に儲かるけれど、マップの自動発展のためには、こまめに中間駅をつくる必要もある。しかも、駅をつくるからには乗降客数がじゅうぶんに多くないと、かえって駅の周辺を衰退させてしまう。人の流れを慎重に計画して駅の配置を決めよう。中間駅をカバーするため各駅停車にすれば、必然的に駅間距離は短めにならざるを得ない。各駅停車には「通勤型」を使おう。
各駅停車と特急を考えれば自然とわかるように、駅間距離とは、列車の発駅から着駅までの距離である。駅を多めにつくっても、途中駅を通過させれば、駅間距離が長い長距離の列車を運行できるのだ。同じ線路にいろいろな列車タイプの列車を走らせてみよう。私鉄の急行や快速は「高速通勤型」の列車を使って運行しよう。
マップコンストラクションモードで景観を優先するときは、JRの駅と私鉄の駅を別々の駅にして近接して2つ建てることもあるだろうが、ゲームモードでは不利にしかならない。1つの駅で番線を増やしたり、立体交差駅を使ったりして、1つの場所では1つの駅に集約しよう。
線路と列車については、博物館やイベントなど学習(見学)の機会がたくさんある。それ以前の話として、5歳でプラレール®、7歳から鉄道模型(Nゲージ)に親しんでいれば、戸惑うことは何もない。就職するとマイカーで通勤する生活になる人も多いだろうが学生時代には電車で通学する人が多いだろう。遅刻したくないので自然と鉄道には詳しくなる。そうしたものを何1つ経験したことのないまま本作に挑もうという無謀な人には「すももコース」に戻っての『学び直し』を期待する。逆にいうと、子どものうちから鉄道のDVDやYouTubeばかり見ていた人は、かえって何も理解していないことがあり得る。鉄道への愛着の高さと知識の深さは必ずしも比例しない。学習は、それが学習という活動であることを自覚の上で取り組まれる必要があるといえる。
まず、「駅リスト」に表示される「乗降客数」と、「Train」ウィンドウに表示される「乗客数」の意味を正確に理解しよう。
本作では、列車の「乗客数」(その駅から乗る客)はマップ内の建物の比に応じて厳密に算出される。マップ内の建物に変化がなければ「乗客数」は変化しない。なお、平日と土休日の違いはあるが、これも建物に変化がない限りは厳密に一定だ。野球場や遊園地をつくっても、特定の時刻に大量の帰宅客が発生するといった特別な動きは実装されていない。
本作に関するよくある誤解として、マップの「人口」を増やせば「乗客」が増えるはずだ、というものがある。これは誤解(不正確な理解)である。「人口」の数字を大きくしさえすればよいといって、ところ構わず超高層ビルなどの巨大な建物を増やすとどうなるか。かえって「乗客」が減るのである。
「乗客」の数は、マップ全体で計算され、それぞれの建物に『配分』され、それを駅が『集客』するという、何段階かの処理になっている。ここには思わぬ『落とし穴』がある。隣の駅前に超高層ビルが建てば、こちらの駅では乗客がゼロ同然にまで減るということが起きうるのだ。マップ内の建物の数や種類が変わったり、駅との位置関係が変わったりするだけで、「乗客」の数は非常にダイナミックに揺れ動く(※建物と駅に変化がない限りは一定)。
マップ内の建物が変わった(「人口」「産業構成比」が変わった)とき、「乗客」(駅から乗る客)が増えるのか減るのかは、駅の位置(各建物との距離)によって異なる。しかし、駅リストの「乗降客数」では乗車客と降車客が合算で表示されるため「乗客」(その駅から乗った客)の増減はわからない。列車の「乗客数」を常に確かめるようにしよう。また、超高層ビルなど巨大な建物ほど影響が大きい(バランスを崩しやすい)ので、慎重に計画してから着工させよう。
さらに、自分では何もしていない(建物や列車をいじっていない)つもりでも「乗客」が異常に減ったときは、思わぬ場所に他社が超高層ビルを建ててしまっているのかもしれない。建物は駅の有無に関係なく、資材置場に一定数の資材が溜まりさえすれば「自動発展」で建ってしまう。しかし、駅の影響範囲から外れていれば、その建物に『配分』される「乗客」は、どこの駅にも行けないのだ。こうなると手遅れである。1つ前のセーブデータに戻ってやり直そう。
【豆知識】LinuxなどのOSには「/dev/null」というデバイス(スペシャルファイル)がある。要らないものを捨てる(バケツ=ごみ箱)、何もしない、見せない、効き目をなくす、あるいは「そんなことをしても無駄」といった意味の比喩やジョークにも使われる。「A列車で行こう9」で、駅のないところ(どの駅の範囲からも外れたところ)に建ってしまった建物は、本来なら各駅に『配分』されたはずの「乗客」をのみこんでしまう「/dev/null」なのだ。資材置場のつくりすぎや資材の運びこみすぎに注意しよう。
本作でいう「自動発展」(または「衰退」)は、列車が到着して客が降りた駅(着駅=下車駅)の周辺で進んでいく。「発展」するのか「衰退」するのかは、その駅の前日の24時間分の「乗降客数」によって決まるようだ。駅を新設したときは、一種のボーナスとして、最初から「前日の乗降客数」として大きな数字を持たされている気配もある。(駅を設置しただけで道路と樹木が生えてくるし、資材があればちょっとした建物が、列車の発着なしでもすぐに建つ。)実際にプレーしていくと、どうも「前日までの3日間の乗降客数」(いわば移動平均)のような数字になっているのかなと思わされるタイムラグを感じることもある。そうだとすればなおさら『ボーナス』なので、うまく活かそう。(「ダイヤ設定」に手間取っている間に一時的に「乗降客数」が激減しても、それだけで極端な「衰退」が起きてしまわないようにという救済措置でもあるかもしれない。)
駅周辺にある建物の種類(「産業」)に応じて、「乗客」(その駅から乗る客)の数は時間帯ごとに目まぐるしく変化する。しかし、1日を通しての変化のしかたは一定だから、24時間分の合計だけ気にすればじゅうぶんだ。「乗客」が『配分』されているのに列車の発着がなかったり満員になっていて乗れなかったりすれば意味がない。駅ごとに、どの時間帯には特に乗客が多いのかを把握して、ラッシュを適確にさばこう。時間帯によらずコンスタントに列車を発着させて、24時間での合計を少しでも上積みしていこう。
あらかじめ「Option」で有効にしておく(ずっと有効にしたままにする)。「駅のダイヤ設定」で正しく使い分けよう。
詳しくは「ダイヤ設定 7つの小枝(コツ)」を見てほしい。
駅の「乗降客数」がじゅうぶんでめでたく「衰退」は免れて「発展」と判定されたとしても、喜ぶのは早い。「発展」の勢いを決めるのは「乗降客数」という合算された数字のうち、「乗った客の数」ではなく「降りた客の数」のほうである。駅のダイヤ設定「乗客対応」の「乗車」を使うときは要注意だ。全列車を「乗車」にしてしまうと、その駅で降りる客がゼロになってしまう。「降りた客の数」がゼロになってしまうと駅の周辺が衰退しかねない。駅の「乗降客数」の数字だけを見ているとわからないので、よく把握しておこう。
つまり、駅のダイヤ設定「乗客対応」を「乗車」にする列車だけにしてしまわず、「乗り降り」にする列車を混在させる必要があるということだ。例えば、快速や急行を「乗車」にして、その続行で「乗り降り」の各駅停車を走らせてみよう。駅の番線数(ホーム)を増やして、待避や緩急接続のシーンを再現すれば、自然に見えるだろう。
【豆知識】緩急接続する駅で続けて発車する列車は、「時間拡張EX30倍」では「7分」以上の間隔で発車させればOKだ。ゲームでは時間の数字に現実感がないが、ゲーム画面で列車をじっと眺め、だいたいこんなものと思える秒数で決めてもよい。「時間拡張EX30倍」での「7分」という時間は、映像としては14秒である。現実の時間の1/4でいい(駅で撮った長回しのビデオをカット編集したようなものでいい)とすれば、これが現実での約1分(56秒)なのだ。実際には60秒かかっている目の前の光景を、わたしたちは0秒目から59秒目まで変わらぬ注意力で見続けているだろうか。答えはノーである。見たいものや気になるものだけを見て、そういうものが特にないときはぼーっとしているのである。
そんなものはない! 運行距離(発駅と着駅の直線距離)に注意して「列車タイプ」を適切に選べば、どの車両を使っても大差なし。このゲームは幸いなことにシングルプレイだ。誰にも気兼ねなく自分のお気に入りの車両を使おう。
おもな列車タイプ | 最大乗車率 | 速度(km/h) | 運行距離(km) | |
---|---|---|---|---|
特急列車 Limited Express | 120% | 95~160 | 7~ | |
高速通勤型 High Speed Commuter | 180% | 95~125 | 2~5 | |
通勤型 Commuter 地下鉄 Underground | 200% | ~95 ~70 | 1~3 |
詳しくは「列車と路線(ルート)」を見てほしい。ゲーム画面の「Train」の「諸元表示」では「列車タイプ」は英語で表示される。
【豆知識】「Option」の「データ表示」で「駅の資材有効範囲を表示する」をオンにすると駅に緑色の円が表示される。この緑色の円の半径が400mである。隣の駅の緑色の円と重ならないようにすれば(緑色の円と緑色の円が接するような位置関係で駅を設置すれば)、最短でも800mの駅間距離を保つことができる。これは、すべての駅について、互いに緑色の円が接するようにすべきということではない。駅間はもっと離すべき、あるいは通過列車を設定して列車の運行距離は長くすべきである。マップの全域で均等に駅を設置して「幾何学的に美しい配置だ。」みたいに自慢していたらお子さまもいいところだ。
「列車タイプ」と運行距離によって列車の売上が極端に変わるというユニークなゲームシステムになっていることを理解せず、車両の「損益分岐点」「利益率」などを静的に算定して専門家を気取る者がいるが滑稽である。
【豆知識】ゲームの進行に合わせて「定員」を調節したいと思っても、車両(「列車」)によっては思ったような編成両数にはできなかったり、つくった路線の長さと列車の速度が不釣り合いでダイヤを組むのが難しいということなどがあったが、「カスタム」で「編成」や「巡航速度」を変える機能が追加されたので、かなり自由になっている。だからといってゲームが簡単になってつまらないということはないので安心してほしい。
それでも「おすすめ車両」はあるはずだとか、「車両一覧を見せろ」とおっしゃるならこちらをこっそり参照していただきたい。
「A列車で行こう9」の「列車のカスタム」は、「A列車で行こう9 Version 3.0(A9V3)」でパンタグラフが実装されたときに「224列車」すべてについてパンタグラフをどこにつけるかというデータを新規に作成することをメーカーが投げ出したことによって生まれた負の機能である。どんな機能に対しても「これは便利!」などとほめてみせないといけないというような義理はないのではっきり書いておく。
従って、現行の最新バージョンに至るまで、パンタグラフはあってないようなもののままであることに注意してほしい。このサイトでは「パンタグラフの昇降」についても述べているので読んでいってほしい。
同じ車両でも年代によってパンタグラフの種類が違う(長期にわたる車両新造の途中から変更されたとか、大雪をきっかけに古い国鉄型車両のひし形パンタグラフがシングルアームに変更されたなど)こともあるので、とても奥深い。もとはパンタグラフがない車両に好きなパンタグラフをつけるのもゲームならではの楽しみではあるので、「列車のカスタム」という機能がまったく不要なわけでもないのはいうまでもない。
【豆知識】どの種類のパンタグラフをどの車両のどの位置につけるかについてインターネットで調べるときは、「E231系 編成表」といった検索をするとよい。どの種類のパンタグラフがどの車両のどの位置についているのかという事実には著作権が発生しないので、「編成表」を載せているサイトの作者などに許可を得る必要はない。ただし、インターネットで見つけた「編成表」を書き写してじぶんのページやSNSの類に「編成表」を載せるのはアウトだ。絶対にしてはいけない。
本作では、Projectの「新幹線駅誘致」を完成させると、Trainで「超特急」の車両が『解禁』される。
「ひしめきあう街」など一部のニューゲーム(シナリオマップ)では、最初からTrainに「超特急」の車両が購入・配置してある状態で開始する。これを撤去・売却してしまうと、ゲームを進めてProjectの「新幹線駅誘致」を完成させるまで、新しく「超特急」の車両を購入・配置することはできない。これはちょっとしたチュートリアルになっていて、あなたは試されているのである。目先の資金ほしさに売却してしまうようでは落第だ。
列車タイプ「超特急」の車両は、できるだけ『満員』(※「定員×最大乗車率」いっぱいの「乗客数」)にして、長い距離で運行したい。本作における車両は、線路を走らせていると、走った距離に応じて運行費用がかかる。逆にいえば、駅や車庫に停めておけば、それほどの費用はかからない。列車タイプ「超特急」の車両では特に極端で、満員で長い距離(※マップの1辺の長さの半分以上)を走らせると莫大な売上が計上されて運行費用を差し引いても大きな利益(『大黒字』)が確保できる一方、ちょっとでも乗客が少ないとか距離が短いなどすると運行費用のほうがかさんで『大赤字』になってしまうのだ。確実に満員にできる駅から出発させることはもとより、確実に満員にできる時間帯だけ走らせて、それ以外の時間帯(満員にはならない時間帯=走らせると赤字になる時間帯)には駅などに停めておくということが、なによりも大切である。
購入価格 | 資産税 評価額の5% | 維持費 購入価格に比例 | 運行費用 購入価格に比例 | |
---|---|---|---|---|
未購入 | かからない | かからない | かからない | かからない |
↓購入 | 購入時に 支出 | 1年ごとに 納める | ↓ | ↓ |
購入して未配置 | ↓ | かからない | かからない | |
配置(停車) | ↓ | 1時間ごと にかかる | かからない | |
配置(走行) | ↓ | 走った距離に 応じてかかる | ||
撤去(未配置) | ↓ | かからない | かからない | |
↓ 売却 | 売却価格 (評価額と同額) が収入に | かからない | かからない | かからない |
【豆知識】運行費用は走った距離に応じてかかる。高速な車両を「速度制限標識」や「カスタム」で速度を下げて走らせても、損になる(運行費用が余計にかかる)ことはない。安心して好きな速度で(ゆっくり)走らせよう。また、『配置費用』『撤去費用』という支出はない。安心して配置や撤去を何度も繰り返しながらダイヤ設定をしていこう。「未配置」のときに維持費がかからないというゲーム上の表現は、現実でいえば遠隔地や他社の工場に車両を預けてある状況を想像すればよい。
【豆知識】「A列車で行こう9」では線路が安い。…線路が安い! もちろん敷設費用はかかるし用地費用が高騰していればたいへんなことになるけれど、線路そのものに維持費はかからず、資産税も免除されているのだ。現実には、高速な列車や重量のある貨物列車が通る線路や、国電(E電)区間など列車の通過回数が多い線路では、べらぼうな維持費をかけて線路を維持していると想像するに難くない。ゲームの中では、そのような費用の違いは、車両側に持たせてあると思えばよい。列車タイプ「超特急」の車両がふつうの線路を走っておかしい、というのでなく、あなたが列車タイプ「超特急」の車両を走らせたら、その線路はそういう線路なのだということだ。
マップの「人口」がじゅうぶんに増え、列車タイプ「超特急」の車両をマップ外(「隣町」)に送り込むと満員になって戻ってくるようになれば、しめたもの。マップ内に停車駅は不要だ。東西や南北などを一直線の『高速線路』で結んで、ひたすら隣町と隣町を往復させるだけでよい。これぞJR東海パック新幹線のリアルである。
「自動発展」の速さや規模を左右する「駅に到着した列車に発生した売上」の数字(公式ガイドブックでいう『パワー』)を桁違いに大きくして急激な「発展」をさせたい場合にも、列車タイプ「超特急」の車両は有用だ。こちらも途中の停車駅は不要。『大発展』させたい駅から東西南北いずれかの方角に一直線の線路を敷き、その長さが最も長くなる方角の「隣町」との間で往復させるだけでよい。このときは、マップ内から外への片道だけ満員にできればじゅうぶんだ。マップの「人口」が少ないうちからも試したい。
列車タイプ「超特急」の車両を使うと何ごとも極端な結果が出るので、ゲームの仕組みや列車のはたらきがよく見えてくる。列車タイプ「超特急」の車両を使うことはチュートリアルなのだ。ここでわかったことを活かして、列車タイプ「特急列車」や「高速通勤型」も、うまく使っていこう(駅の位置関係=駅と駅の直線距離に応じて使い分けよう)。
一方、Projectで造る「新幹線駅」は、駅ではなく建物だと思えばよい。駅のように周辺を「発展」させるはたらきはない。あくまで列車タイプ「超特急」の車両を『解禁』させる目標(条件)にすぎないと承知しておこう。Projectで造る「新幹線駅」を黒字にするには「人口」が非常に多くないといけない(※「新幹線駅」は独立採算:「新幹線駅」の周辺に建物を建てたり、別の駅を横付けして列車を発着させるなどしても、まったく関係がない)ようである。
3DS版では(面積ベースの)「産業比率グラフ」があるが、これと「A列車で行こう9」(A9)の「産業構成比」はまったく別物だ。
3DS「産業比率」 | A9「産業構成比」 | |||
---|---|---|---|---|
面積ベース (占有するマス目の数) | 消費電力?ベース | A9では建物のみを計上 (「乗客発生時間帯」と対応) (建物の面積はさまざま) (A9では建物の種類と 1:1で対応するものではない) |
||
「農業」 「工業」 「商業」 | = | 「農業」 「工業」 「商業」 | 本当の意味での 「産業比率」「産業構成比」 (「経済」「雇用」のいわば分母) |
|
「住宅」 | ≒ | 「住宅」 (「ホテル」を含む) | 朝の乗客発生確率 (「人口」とは直結しない) |
|
「娯楽」 | ⇒ | 「文化」 | 12時や22時ごろの乗客発生確率 (建物の種類には 「娯楽施設」 「運動施設」 「文化施設」がある) |
|
「林業」 | … | A9の「樹木」は産業に属さず (樹木の数を知る方法なし) |
||
「公共」 | ⇒ | 「決算情報」の 「公共投資評価」 (道路を含む) | ||
「運輸」 | ⇒ | 「鉄道会社情報」 (「線路総延長」など) | 建物「本社ビル」「鉄道車庫」などは 時間帯ごとの乗客発生確率に対応する 「産業構成比」の各欄に分けて計上 (他の種類の建物も同様) |
|
… | 「ビジネス」 「レジャー」 | 乗客発生確率の 平日と休日の差? |
||
「空地」「未利用地」「水面」などは いずれも表示なし |
※「産業構成比」とかけて「士農工商」「文化住宅」「ビジネスにもレジャーにも」と解く。…整いました!
真っ先に気づくのは「林業」「公共」「運輸」がないことだろう。3DS版でいう「産業比率」と対応するのは「産業構成比」のうち「農業」「工業」「商業」「住宅」だ。3DS版でいう「娯楽」にあたるのは「レジャー」ではなく「文化」だ。A9の建物の種類としては「娯楽施設」「運動施設」「文化施設」に細分化されており、これらのカテゴリーに属する建物を建てると「商業」「文化」「レジャー」などの比率が増える。どの数字がどれだけ増えるかは個々の建物ごとに異なる。
3DS版の「産業比率」には「運輸」があるが、A9では駅の数や線路の総延長などは別の欄に表示され、鉄道施設がマップに占める(面積ベースの)比率を知る方法は用意されていない。3DS版のようにゲームのマス目がはっきりしているわけではないからだろう。建物の敷地の広さはさまざまで三角のものすらある。線路は細い。このような豊かな表現をとったA9は、さすがPCゲームなのだ。そんなA9なのに、建物をマス目に沿って敷き詰めようとか、そのときうまく敷き詰められないのはバグだとさわぐようではお子さまもいいところだ。根幹のシステムがどれだけ異なっているのかを正確に理解しよう。
3DS版では「産業比率」が「グラフ」(レーダーチャート)で表示されるが、A9では「産業構成比」にグラフはない。表に示したように、A9の「産業構成比」は、性質や目的がばらばらの数字を単に並べて表示しているだけで、本来は割合の数字ではないからだ。「公式ガイドブック」の「マップ攻略編」でも、「産業構成比」は表形式で示され、グラフにはされていない。これは手抜きではなく、数字の意味を正確に扱っているからなのだ。これを理解せずにじぶんのマップの「産業構成比」を円グラフなどで紹介したら赤っ恥もいいところだと思っておいてもらいたい。そんなことをしでかせば、小難しいことは暗記するが基礎ができていない、いわば算数の心得がない人だという烙印を押されてしまう。
建物が持つ固定の値 いわば建物の個性 | 「産業構成比」 |
---|---|
「消費電力」 | 「最大乗客数」となんとなく対応 してる感じ(同じ数字っぽい) |
「乗客発生時間帯」 | 「産業構成比」の どの項目に いくら加算するか ↓ このようなデータ表現で 「乗客発生時間帯」というものを 持たせてあるっぽい |
時間帯ごとの乗客発生確率は 0~9の整数で表現 (公式ガイドブックより) ↓ 分解能(目盛り)が10 ざくっとしか変化しない |
|
「最大乗客数」 | 乗客発生確率が9の時間帯に 発生する乗客の実数か |
※「それなりにばらばらな数字」:列車の「乗客数」を見て「432」だったときに、あしたの同じ時刻には「433」や「431」になるかなと思うと、そんなことはなく毎日きっかり「432」である。だから「乗客数」は「景気グラフ」とは連動しないのだなと推定できる。
※マップ全体での「消費電力の合計」や「最大乗客数の合計」と列車の「定員」とでは桁が違いすぎる。列車の「定員」に合わせた桁数の「乗客数」にしようとして何らかの一定の割り算(1000で割るなど)をしていないか。割り算をすれば小数点がつくはずだが、切り上げや四捨五入はせず切り捨てのようである。そうしないと、「葡萄畑」があれば必ず1名の乗車があるというようなことになってしまう。また、「消費電力の合計」や「最大乗客数の合計」が非常に大きくなった「終盤」では、それでも一定の割り算(1000で割るなど)しかしないために、乗客数の大小の表現力(いわばダイナミックレンジ)が足りず、小規模な駅前の乗客数が不当に少なくなることがあるのではないか。ちなみに65535を10で割ると6553.5で、小数点以下を切り捨てにすると6553である。公式ガイドブックなどに「6500」みたいな数字があれば、そういうロジックを想像せざるを得ない。10両編成の「通勤型」で「3000」くらいのものが上下同時発車しても「500」の余裕があるので、続行の各駅停車や支線の列車などにあてる、というような考えになっていないか。1024に10をかけると10240で、マップの座標は(0,0)から(10239,10239)まであるのはここだけの話だ。
※乗客発生のある建物はすべて、「工業度」「商業度」「住宅度」いずれかへの影響を持ち、「消費電力」がゼロでない。複数の産業に影響を持つ建物もあるが、主に影響を持つ産業がはっきりするよう、影響の大きさには大差がつけられているはずだ。いわばおまけの波及効果というイメージに過ぎず、「複数」というところにはあまり期待しないのがいいだろう。小規模すぎる建物については、配分される乗客数が少なすぎないようにあえて複数の産業への影響度を持たせてある気配もある。小さいくせに両手を高く掲げて大きな口を開けて配分を待っているというイメージだ。なんともはや。
「A列車で行こう9」の「産業構成比」に関する詳細はあくまで公式には明らかにされていない(ゲームを進めてのお楽しみという扱いだ)が、消費電力ベースで算出されている気配がある。「A列車で行こう9」では建物の種類ごとに面積などの合計を知る方法がないことにはなるが、建物ごとの消費電力は、建物の敷地の面積とは関係なく建物の実態をよく表わす数字なので、このこと自体は望ましい。つまり、「A列車で行こう9」では少ない面積で消費電力が大きい建物を駅の近くに建てるのが有利だということだ。必ずしもその通りにはできないかもしれないが、ちょっと覚えておこう。
本作ではゲームモードで樹木を思い通りに増やすことはできないが、増やしたとしてもどこにも計上されないのでゲーム上は無意味だ。公園などは、3DS版や、もっと昔の「A列車で行こう4」の感覚でたくさん造っていると、「A列車で行こう9」では多すぎるということになるかもしれない。公園などは「衰退」せず、ほかの建物に自動で建て替わることもないので、むやみに増やさないようにしよう。
A9と3DS版の両方とも、「空地」「未利用地」「水面」などは計算に含まれない。マップ上で、何か建物や施設を造った部分だけに注目させる数字が出てくる。「産業比率」「産業構成比」は割合の数字であり、これを見るだけではマップ内の開発の規模がわからない。これを補うのが「人口」の数字であるとも言えるが、その「人口」は「産業構成比」の内容に応じて揺れ動く。ここで「消費電力の合計」だけはぶれない数字が出てくるので、「消費電力の合計」こそが開発規模を正直に表わす数字だと思えばよい。
「要望」として「なにのそれがしという有名な建物みたいな建物がほしい」などとWikiなどに投稿されては誰からも反応されないということが多くみられるが、これは当然である。本作における建物は「産業構成比」「乗客発生時間帯」という大きなシステム(ルール)を楽しむための、チェスや将棋でいうところの「駒」なのだ。チェスや将棋で「新しい種類の駒を増やしてほしい」などとは誰も言わないだろう。囲碁サッカー赤青チェスがいいとか、新緑に包まれて実物大の将棋だとか、そういうことなら「同じ建物の色違い」「高さや幅や組み合わせを変えられる建物」「看板などの付け外し(テナントや広告の営業を楽しむ機能)」「増築・減築」「曳家(移築)」という実装を要望すべきなのだ。とはいえ「A列車で行こう9」のルールの中で、建物のバリエーションが乏しい領域があれば、そこを指摘するのは有意義である。例えば「本社ビル」というカテゴリーの建物は、この「本社ビル」というラベルに発想が縛られて、いまいちバリエーションが乏しい。「なになに置場」という言葉で考えて発想を広げていった形跡があるのは微笑ましいが、「レール置場」は分解して「アイテム」にしてほしいし、「保線車両置場」は大きさが「2:1モード」のままだ。このカテゴリーで最新の建物が「鉄道舎」だというのが(悪い意味で)泣ける。このサイトの「建物16」では、プレーヤーの鉄道会社が直営するにふさわしい種類の建物が増えるといいなということで「ゴルフ練習場」「自動車教習所」「倉庫」「クリーニング工場」などを提案しているのでご笑納いただければ何かの幸いである。
※フィットネスクラブという名の防火水槽「ゴルフ練習場」:車両基地と一体でニュータウンの急斜面を削るか谷や沼を埋めるお仕事。オイルショックがなければ学校の用地になったかもしれない。「自動車教習所」:埋立地の元漁師バスの運転士を自前で養成。「倉庫」:由緒ある私鉄が殿様の許しで倉庫業。物置きという意味ではない。「クリーニング工場」(リネンサプライ):仮眠施設や系列ホテル御用達。例えば、この「クリーニング工場」には、これを建てると「なになに度」がいくつ増えますというのでなく、「ビジネス度とレジャー度を何%平均化します(極端な凸凹をならします)」という挙動を付与すればもっとおもしろい。これは「国土計画観光業を振興します」という漠然としたことを、このゲームのシステムで具体的に表現した表現ということになる。同様に、「ゴルフ練習場」には「ビジネス度の何%を文化度に付け替えます」という挙動を付与すればリアルだ。「自動車教習所」や「倉庫」には、バス・トラック・資材置場の費用を下げる効果を持たせたい。このような特殊な効果を持たせた建物だからプレーヤーの会社しか建設・保有できない(「自動発展」では建たないし、「売却」できない)という扱い(つまり「本社ビル」というカテゴリー)にするととてもしっくりくる。建てられる数にも上限があるとよい。互いの距離を離さないと設置できないという制約があってもよい。「A列車で行こう9」では「学校」の隣に「夜の街歓楽街ビル」を建てることができる。「コンビニ」には「酒」も「たばこ」もあるだろう。なんともはや。
※「資材置場」を駆使するプレーが「倉庫業」と言えなくもないが、ちょっとわびしい。そういうことなら貨物の種類が増えればよい。輸出専用と輸入専用と中継専用が増えればよいのだ。なあに、かえって「A列車で行こう10」が楽しみになってくる。
このようなことは、マップコンストラクションモードだけで無限に楽しむ「箱庭」においても同じだ。与えられた制約を楽しみ、要素の調和を追求するのが「箱庭」である。ゲームの作者が用意してくれたものをまったく無視して自分の好き勝手な色や形にしたいというのは「造形遊び」である。それは砂や粘土や木片や石ころそれに石膏という材料を使って自分の手で行なうべきものである。あるいは自力で3Dのモデリングをすればよいのである。わざわざ「A列車で行こう9」を使って中途半端に「造形遊び」をすることはあるまい。高架の線路を鉄鉱石のクレーンに見せかけたり、高架の道路を駅舎の大屋根の代わりにしたり、レンガの橋を複線トンネルの代わりにしてドクターイエローを配置したスクリーンショットを公式サイトに掲載するなど、もってのほかである。「A列車で行こう9」を5歳児とも呼ばれる未就学児いわゆる子どもに遊ばせてもいいが、絶対に家庭から外へ出してはいけない。このゲームの対象年齢は、あくまで16歳以上(※3DS版が「高校生以上」とのことなので、それと同じか、さらに上)なのだ。あえていえば単に年齢だけ満たしていればいいというものではない。大学に入って3年生になる(※3年生から大学に入る人もたくさんいるけれど)、専門の科目が重くのしかかる。専門性とは何か。そうしたことを考えながら「頭の体操」などと称して取り組むのが「A列車で行こう9」というPCゲームなのである。なんとなくではいけない。用語の定義をひとつひとつ確かめながらプレーしていく。説明に破綻はないか。公式情報にも疑いの目を向けるのをデフォルトとする。ビジネスマナーも知的財産権も研究倫理もばっちりである。これが大学の3年生というものだ。
本作においてゲームの進行を支配するのは、実は資金でも列車の運行でも資材でも人口でもなく、「電力供給率」である。
電力需要 (建物の消費電力の合計) | 電力供給率 | ||
---|---|---|---|
総発電量に満たない (電力が余る) | 100% | 自動発展が促進 | 電力会社が大赤字 |
60%程度 | あまり発展しない | 収支が均衡 (発電所の種類により異なる) | |
総発電量の3倍まで | 33.3%以上 | 停滞 | 電力会社が黒字 |
総発電量の3倍以上 | 33.3%未満 | 電力不足で衰退 | 電力会社が大黒字 |
(発電所がない) | 0% | ブラックアウト |
電力供給率と電力需要の両方を見よう。都市の発展がひと段落したとき、電力供給率は60%程度で問題ない。自動発展を進めたいときは電力需要を上回る総発電量が必要である。電力が余っていないと自動発展は進まないのだ。一方、子会社(自社物件)は電力供給率と関係なく好きなように建てることができるので、総発電量を上回る電力需要にすることができる。このとき電力会社の収支は改善され、発電所の種類にもよるが、電力供給率を60%程度にまで下げる(需給をひっ迫させる)と電力会社は黒字になる。このとき、電力が理由で建物が衰退することはない。ただし、電力供給率が33.3%よりも低くなると、「電力不足です」というメッセージが表示され、マップ内の他社物件がランダムに(消費電力の多い建物から順に?)消えていく。建物が減ったことで電力供給率が33.3%に戻ると、衰退は止まる。マップコンストラクションモードで発電所をつくり忘れたときや間違えて発電所をすべて撤去してしまったときは、マップ内のすべての建物が停電する(夜間に照明が点かなくなる)。
ゲームモードでの発電所の増設は非常に困難だ。まずは、ニューゲームの開始直後にある発電所をうまく使うことを目指そう。開始時に電力が余っていて自動発展が進むようにしてあるシナリオマップがほとんどである。このため、ニューゲームでは電力会社が大赤字の状態から始まる。すみやかに自動発展を進めて電力会社の収支を改善しないと、あっけなくゲームオーバーになってしまう。序盤は時間との勝負だ。とはいえ、いい加減な自動発展をしてしまうとマップがどうにもならなくなる。余っている電力を消費するために、とりあえず資材工場を多めに建設するのも手だ。生産した資材はもっぱら隣町に売却する。路線網や駅の配置を決めて自動発展の準備ができたら、資材工場を減らして再び電力を少しずつ余らせ、自動発展を段階的・計画的に進めていく。これなら盤石の体制をつくっていけるだろう。
【豆知識】現実の都市計画には「計画人口」という概念がある。ニュータウン(開発)や区画整理事業の場合、いわゆる街開きから何年目に何人の人口で、最大で何人ということを決め、これにあわせて電力・水道・交通などのインフラの容量や、病院・学校の規模(定員)、それに、これらを段階的に整備するスケジュール(時期)を決める。「A列車で行こう9」では「消費電力」(電力需要)の数字そのものを一種の人口とみなすとわかりやすい。発電所を先に建て(あるいは最初から建っていて)「総発電量」が決まっているのが、一種の「計画人口」である。このゲームで発電所を増やしたり減らしたりすることは、いわば「計画人口」を変えるような大仕事、つまり超ウルトラスーパー上級編だと思うとよい。
本作においては電力会社も子会社の一種であり、鉄道施設と同様に土地の評価額にかかる資産税は免除されるが、建物の評価額に対しては資産税がかかる。駅や操車場の評価額は常に一定だが、発電所の建物の評価額は「景気グラフ」に応じて変動するほか、そもそも建設費が莫大であるので評価額が高く資産税が高い。
なお、本作に登場する「変電所」はいまのところただの建物で、ゲーム内の電力や鉄道に対して何らかの大きな作用をおよぼすものにはなっていない。今後の実装に期待したい。
(この図はNMPC-L64で編集可能です=図をクリック!)
本作における「道路」は、「自動発展」の処理と密接に関係した、いわゆるひとつのゲーム要素である。ゲームモードでは極力、「自動発展」で造られる道路をそのまま使おう。
本作では「道路」に接して建物が建ち、その後、建物に接して建物が建つ。このとき、隣り合う建物同士の間に細い道があるように見えるグレーの地面テクスチャが使われる。ゲームシステム上の「道路」ではないが、グレーの地面も道路だと思えばよい。このような細い道路を「道路敷設」のメニューでぜんぶ引こうとしなくてよい。マップ内の土地は貴重だから、少しでも「道路」を少なく「建物」を多くしたい。
※「自家用車」「タクシー」が追加されたことで、このゲームでの「道路」の持つ意味がわかりにくくなった。「自家用車」は本来、JRやJHの緊急走行ができる車両を実装しようとして用意した3Dオブジェクトではないかと疑っている。なぜあの車種なのかと問えば答えに詰まるはずだ。
「自動発展」でできた「道路」があるからバスを走らせる、というのが関の山だと知っておこう。そのようにしてバスが行き交うようになった「道路」を「バス通り」と呼ぼう。
そんなものはない! ゲームモードで「自社物件」を保有し続けるのは困難。「自動発展」に任せよう。どんな建物が建っても、それはそれ。どんと構えていよう。
「自動発展」が進むにつれ地価が上がり、建物(「子会社」)の評価額がつりあがり、「資産税」が巨額になるという流れ(最初は大したことがないが中盤以降に大変になる)を理解せず、建物の「損益分岐点」「利益率」などを静的に算定して専門家を気取る者がいるが滑稽である。
【豆知識】街並みを変えたくない、大きな建物に建て替わってほしくないというときに「自社物件」として保有する必要があったが、「調整区域」の機能が追加されたので、その必要はなくなっている。
ゲームの中で地価を調べるには、「子会社」を建設する「Construction」メニューから適当な建物を選択して、地価を調べたい位置で「用地費用」の見積もり額を表示させればよい。ここでは「子会社」の「店舗」にある「コンビニ(小)」を使うことにする。
「40m×20m」の長方形の敷地を持つ「コンビニ(小)」の「用地費用」は、最低のとき「¥800,000」である。いま、適当に「文明開化が薫る街」のニューゲームを開始し、天候に合わせてドーム屋根が開閉すると評判の「野球場」の南に「コンビニ(小)」をつくろうとしてみる。「用地費用」は「¥406,400,000」と表示される。これは、最低額の508倍である。このように、最低額を基準にして、その何倍まで上昇しているかを見ればよい。なお、見積もり額を見るだけでよいので、実際に建てる必要はない。見積もりは無料である。なお、既存の建物などと重なる場合「買収撤去費用」が「用地費用」の欄に合算で表示されてしまい、その位置の「用地費用」はわからなくなってしまう。建物などと重ならない空き地を使おう。多少の位置の違いでは「用地費用」は大きくは変わらないので、位置はだいたいでよい。
実際に建てたい建物や鉄道施設によって面積が異なるが、地価(の上昇度)を確かめたいときは基準にする「コンビニ(小)」を使って「用地費用」を確かめよう。
地価は最低額の2000倍くらいまで上昇するようだ。地価が上がりきってしまうと何をするのも困難になってくる。プレーヤーの会社が倒産するわけではないが、できることが少なくなるという意味では事実上のゲームオーバー(詰み)ともいえる。駅や線路を増やしたり自社物件を建てたいときは、むやみに地価を上げ過ぎないように注意しよう。なお、地価の変動はミクロにしか起きない。地価を上げる要素の単純な積算でしかなく相互作用もない(※コンボ特定の建物を組み合わせると地価が跳ね上がるといった特殊な効果はなく、建てると近隣の地価を下げる負の建物というものはない模様)。マップ内のどこかに超高層ビルを建てただけでマップ全体の地価が上がるといったマクロな効果はない。
【豆知識】どうしても地価を下げたいエリアがあるときは、そのエリアにある駅とバス停と道路を完全に撤去して衰退を起こそう。衰退が起きるのはそのエリアだけで、マップ全体には影響しない。このゲームでは「調整区域」と呼ばれる「320mグリッド」ごとに発展・停滞・衰退が判断されるようである。この判断の処理を停止して停滞に固定するのが「調整区域」という機能であるともいえる。なお、「調整区域」に指定してあっても地価そのものは変動し続ける。降車客の多い駅やバス停があれば周辺の地価はどんどん上昇し、そこに自社物件が建っていれば、その評価額はどんどん高騰するので要注意だ。「調整区域」に指定していれば駅や道路などがなくても建物が維持されるが、地価は最低額まで下がろうとする。このとき最低額まで下がりきらない分が、その建物自身が建っていることによる地価上昇効果である。一部のニューゲーム(シナリオマップ)では、山奥や山頂にぽつんと建てられた「野外音楽堂」や「天文台(小)」などが衰退によって開始直後に消える。このような建物を維持したいときは自社物件として保有するか、「調整区域」に指定する必要がある。特に、じぶんで苦労して山奥に「温泉宿2」を建てたあと売却すると、すぐに衰退によって消えるのは水の泡としかいいようがない。
「用地費用」(地価)の数字は、そのままでは大きすぎて実感を持ちにくい。ここで紹介した「最低額の何倍」という見かたによってスケールを変換し、例えば食べ物でいえばどのくらいの豪奢品なのかを実感してみよう。
とんかつ定食×2 | ||||||
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とんかつ定食 | ||||||
牛丼 | ||||||
カップ麺 | ||||||
豆腐 | ||||||
駄菓子 | ||||||
タダ 同然* | ||||||
~10倍 | ~25倍 | ~100倍 | ~200倍 | ~500倍 | ~1000倍 | ~2000倍 |
※残念ながら「ホテルのカツカレー」はこの表には収まらなかった。「とんかつ定食×2」とは、じぶんが知っている食べ物の中で最高ランクの「とんかつ定食」を2回も続けて味わえるような得がたい体験のようなことをいう。プログラミングにおいて「2000倍」の差をつける変数を持たせるというのは中途半端あるいはメモリの無駄遣いという感じがあるので、実際にも「256」「512」や「1024」といった整数を表現できるビット数の値(※その整数を格納する変数のビット数がほんのわずか)を持たせて、計算式で何倍かして「2000倍」(たぶん「2048倍」)を表現しているのだろう。ここまでに調べてみた「用地費用」は、いずれも最低額の偶数倍だった。656と278の公約数を求めてみよう。きっと「1024×2」で「2048倍」が表現されているのだろうと思えてくるはずだ。そして「とんかつ定食」を2回も続けて味わえるような体験は確かに得がたいものではあるが、それがうれしいかというと疑問である。いま端的に、もったいない。せっかくの「とんかつ定食」だから、別の機会にそれぞれ味わいたい。「とんかつ定食×2」は豪奢品ではないけれど、ものすごく無駄なことだというイメージである。
マイナスになったら | ⇒ | 『ゲームオーバー』 | |
(税引後赤字) | ⇒ | いつかは『ゲームオーバー』 | |
(税引後黒字) | ⇒ | (税引後赤字) | |
(税引後黒字) | ⇒ | (均衡) | ここを目指して遊ぶ |
(納税額の2倍の利益) | ⇒ | (納税額と同じだけの資金が毎年増えてゆく) | |
10兆円を超えたら | ⇒ | 『クリア』(事実上のカウンターストップ) | 必ずしも達成しなくてよい (ゲームが終わりになるだけ) |
『A列車で税金をゼロにする方法』がある。「資産税」がかかる物件や施設、車両をすべて売却や撤去し、株式も保有せず、年間の売上をゼロにするのだ。これで税金はゼロになる。ゲーム画面の「資金」の表示はびた一文変わらない。「資金」の多い少ないは関係ない。多額の売却益を計上して「資金」が多くなっても、税金(「法人税」と「消費税」)は売却益のあったときに1回かかるだけである。そのあとは、何もしなければ資金は減らない。
このゲームでは、プレーヤーの操作によらない強制的な『臨時収入』や『臨時支出』(いわゆるボーナスやペナルティやハンデの類)は発生しない。あなたの一挙手一投足のみによって「資金」が動くのだと実感してほしい。その変動は、すべてあなたの(ゲーム内の会社が)したことなのだ。開始直後からただちに「資金」の数字が目まぐるしく変動するニューゲーム(シナリオマップ)にいきなり放りこまれて右も左もわからないままなんとなく何かするのはいけない。
何もしなければびた一文、「資金」の額は変わらないのである。まずはこのことを確かめてほしい。マニュアルに書いてあることを読んで、その『逆』を試してみるということだ。これがゲームシステムの理解への最短の近道であり、唯一の王道である。
ゲームモードでは空にいろいろなものが飛ぶ。デモムービーで紹介されている気球や飛行船のほかに、焼き鳥渡り鳥やブルーインパルス軽飛行機などが、何らかの条件で出現するようだ。どんな条件で何が出現するのか探ってみるのもよいだろう。
ゲームモードの楽しみは、ゲームの作者が仕込んだルールの隙※をついて、思わぬ形で成功を収めてみせるというところにもある。これもまた「攻略」である。
石炭やごみを隣町におしつけるシムシティ見えない「隣町」の様子を想像しているときが、実はいちばん楽しい。「隣町」には無限の「資材」の在庫があって、いつでもいくつでも即日発送してくれるのだ。これを使わない手はない。
※それは本当に「隙」なのか?:「A列車で行こう9」は2010年2月11日、「時間拡張450倍」しかない状態で発売された。あとから追加された各種のモードは(暗に)「おまけ」扱いを受けていて、ゲームの作者があまり考えていないというかどうでもいいと言っているような感じでゲームのバランスが本気では調整されていないという印象がある。車両保有数が少ない発売当初の(「A9V1」の)シナリオマップでは「隣町」にたくさんの列車を送り込む余裕はなかった。「隣町」を活かすというのは、車両保有数が増えてこそのプレーである。列車が「隣町」に消えている間は多少なりとも動作が軽いという副次的な効果もあるが、それはまた別の話。
本作の「樹木」は、ゲームモードでは自由には植えられない。樹木の周囲に樹木が増えるということも起きない。
ゲームモードで好きな場所に樹木を植えたいときは、資材置場なしで駅をつくり、乗客を乗せた列車を到着させて、下車させよう。生えた樹木は、道路が延びるときや建物が建つときに重なって消えるほかには、勝手に消えることはない。なお、このとき「農業」の建物も同時に増えていく。
生える樹木の種類は選べない。多めに生やしてから、気に入らない種類の樹木を撤去しよう。「農業」の建物も同様。畑、花畑、水田、サイロがランダムに並ぶので、じぶんのマップのイメージに合うものを選んで残そう。練馬区にありがちな「低層雑居ビル」の裏手に畑があるのはよいが、さすがにサイロは似合わない。
自動発展の状況によっては、道路沿いに街路樹のように並んで樹木が生えるときがある。自動発展で建つ建物は道路またはほかの建物に接して建つので、道路に沿って樹木が生えていると建物が建ちにくい。樹木を撤去すれば自動発展で建物が建つようになる。道路沿いの樹木を景観として活かしたいときは、自社物件を1つ建てる。以後はその建物に接して自動発展で建物が増えていく。
ゲームモード専用ともいえるのが、「港」「コンテナ港」「ヘリポート」や「Project」の「国際空港」である。設置はマップコンストラクションモードでもできるが、船や飛行機が行き来するのはゲームモードだけである。船がうまく来ない場合はゲームを読み込みなおす(ゲームを再起動する)と航路が再計算されて来るようになる場合がある。ゲームの時計を進めていれば定期的に航路が再計算される(?)ようで、船が来ていたのに来なくなることもあれば、来なかった船が(何もしなくても)来るようになったりもするようだ。同じ方角の海から来るとも決まっていないので、これをランダムにするために定期的に航路を変える仕組みにしたのだろう。その方角には海がない! それでも航路を引こうとしてしまう「A列車で行こう9」という名の愚直なプログラム。そういうときに「船が来ない」ということになるのだろう。
「Project」のうち、子会社扱いにならず損益が発生しないと説明されている「新幹線駅」「リニア駅」を除く各施設は、マップの「人口」に応じて「売上」が決まるようだ。「人口」が少ないうちに手を出すのはやめておこう。違う言いかたをすれば、「人口が少ないから乗客数の足しにしよう!」などと考えて「序盤」で「Project」の建物を建てても、ぜんぜん有利にならないばかりか、「Project」の建物が大赤字を垂れ流すということだ。「Project」の建物は、マップの「人口」が非常に多くなったけれど駅や列車の数に限界があって乗客を運びきれず、「人口」の多さを収益につなげきれていないときに、収益の機会を補ってくれるものだといえる。
きみ自身の目で確かめてみてほしい。
インターネットで「A列車で行こう9」について検索すると、きちんとマニュアルを読んだとは思えないブログ記事やプレー動画が見つかる。中には「自己流」と称して謙遜したつもりになっていると見受けられる者や「やってみた」などと称して正当化する者もいるが、とんでもないことである。マニュアルを熟読せずにプレーすることは、せっかく行った観光地でマクドナルド全国どこにでもあるチェーンのファストフードだけを食べて帰ってくるようなものである。マニュアルがあるのに無視して「自己流」と称するのは謙遜ではなく不遜である。行為によっては使用許諾契約に違反したり、法令違反やそのほう助にあたることも起こりうる。釣りの道具だけを知人から譲り受け、何も学ばないまま危険な場所に立ち入ったり、それと知らずに密漁をしてしまうのと同じだ。
マニュアルを注意深く読めば気づくことができるちょっとしたテクニックの類を、あたかもじぶんで発見した(あるいはじぶんだけが知っている)かのように紹介してはいけない。とはいえ、「A列車で行こう9」のマニュアルが非常に不親切なのも事実だ。このページでは、マニュアルの焼き直しや丸写しではなく、マニュアルを読んでもわかりにくい注意点や、そもそも説明のないことについて、ゲームの楽しみが損なわれない範囲で解説したものである。発売から10年が過ぎたいま、改めてゲームモードを楽しむ人が1人でも増えることを願ってやまない。というのも、発売から日が浅く、購入者に若年層が多いと思われるPS4版では、ちゃんとゲームモードを楽しんでいるプレーヤーがたくさんいるらしいということがGoogleサジェストから示唆されるのである。ひとすじの何か的なものを見た気がして、たいへん心強く思ったことを書き添えておく。(※コンシューマー機のほうがゲームとして熱心にプレーされるという構図は、「A列車で行こう4」「A列車で行こう6」でも見られたものである。小学生から高校生まではまじめなのである。大人になると、なんとふまじめなことよ。)
※Wikiやプレー動画で、情報の出典を明示せず「自分はこんなことを知ってる」と自慢げに披露する者が後を絶たない。それはマニュアルに書いてあったとか、公式ガイドブックの何ページに書いてあったとか、わかる人には必ずわかる。こざかしいことをしてはいけないし、させてはいけない。
Windows版「A列車で行こう9」をフルスクリーン表示でプレーしていると「HTMLマニュアル」を開くのが億劫になるかもしれない。そんなときはPS4版の「オンラインマニュアル」がWebで公開されていて誰でも閲覧できるので、こちらをゲームのPCとは別のスマートフォンやタブレットで開いて、常に手元に置こう。その「オンラインマニュアル」のどこから見ていけばいいのかわからないといったときに、このページがお役に立てればと思う。以下のページ(「ニューゲームで試す」)では、事細かに「オンラインマニュアル」へのリンクを張ってあるので、面倒がらずにその都度、「オンラインマニュアル」の該当箇所を読むようにしてほしい。「A列車で行こう9」をすでに長年(5年以上)プレーしてきている人にあっては、知っているつもりのことでも、改めて「オンラインマニュアル」を読んでみてほしい。何を隠そう、わたし自身がマニュアルを読まずにプレーしていたのである。自信をもって言いたいのが「マニュアルを熟読せよ」ということなのである。
「A列車は難しい」という先入観をなくそう。ブログや動画で「難しい」と言っている人の言い分をよくよく確かめてみれば、単にその人が「わからない」「知らない」だけのことを、あたかも万人にとって「難しい」かのように言っているだけのことがよくある。わかれば難しくないし、知らないことを残さない(わかるまで調べる)という態度が大切だ。
一方、メーカーが公式情報の中で「難しい!」と書いていれば、それは「としまえんで僕と握手してよキミの挑戦を待つ!」という意味のハッタリ決まり文句なので、真に受けて「A列車は難しい」などと思う必要はない。軽いあいさつだと思えばよい。
ゲームの機能や仕様がこなれていないために「できない」「やりにくい」ことがあれば、それははっきり「できない」「やりにくい」と言えばよい。こういうことを「難しい」という言葉でぼかしてはいけない。本人の意識としては、そのもの自体が「難しい」という表現をすることで「誰のせいにもしない」(自分がかわいい自分はいいひと)というつもりなのだろうが、これはとんでもない態度である。自動車のハンドルを握ると人が変わるとはいわないけれど、ゲームはあなたを映す鏡である。
「A列車で行こうシリーズ」に関するコンテンツで「初心者卒業」と銘打つものは地味に世界初[たぶん]である。「初心者」とは何か。
※ここでは「A列車で行こう9 攻略 初心者」「A列車で行こうExp 初心者」という文脈で述べるので「マニュアルを読まない」「公式情報を無視する」と表現するが、例えば鉄道について知識の暗記ばかりを自慢してウィキペディアを引かない、実物の観察を怠る、たまたま自分が知っているものだけでマップや動画を作ろうとすることなども、同じことである。このサイトの「ウィキペディアを使おう」を読んでほしい。じぶんはPCもソフトもうまく使いこなしてプレー動画の再生数も稼いでるから「初心者」じゃない、なーんてことはないのである。
「初心者」という言葉に「良いイメージ」はまったくないと知ろう。謙虚さや実直さを表現する「初心に返る」「初心を貫く」などの「初心」という言葉と混同してはいけない。「初心者」という言葉に「初々しい」とか「かわいげがある」とか、そんなイメージはない。どちらかといえば上から目線で一方的に「みんな初心者だから君も魔法××になってようちに入ってよ」と(人数を集めることしか考えておらずカリキュラムを用意していない=初心者を初心者のままにしておく⇒だから「みんな初心者」は本当)部活やサークルに勧誘するときにしか使わない言葉だろう。自分で「初心者です」と名乗ることは猛烈に非常識で恥ずかしいことだと理解するのが「初心者卒業」への第1歩だ。具体的には、「初心者です」などと名乗っている暇があればマニュアルや公式ガイドブックを開き、どこがわからなかったのかをURLやページ数で言うことだ。「なになにがわかりません」と言ったり書いたりして質問ができるようになればしめたものだ。その質問には自分で答えていくことが可能なのである。「初心者卒業」とは、究極的には自分で自分を卒業まで導くということにほかならない。
※ここでいう「カリキュラム」:ピアノでいえばバイエル。
※コースやカリキュラムの水準を指していう場合は「初級」。「初級コースの受講者」とはいうが「初級者」とはいわない。「なになに者」という形式で、ある状態と人とを強く結びつける言い方をすること自体が悪口じみていると理解しよう。(「受講者」など、動作を指していう「なになに者」はニュートラルである。)
インターネットでは、「マップ共有所」などと称してプレーヤー同士で自作のマップのセーブデータを交換しあいながらかわいがられるうわべだけなかよくしてみせる(頼まれると断れない人を見つけてじぶんのために使い倒す)変なコミュニティがあるが、あなたはそんなものに加わってはいけない。地形の自動生成を使って、いくらでもじぶん好みの地形データをつくって、じぶんだけでどんどん遊んでいけるのだ。他人の力など必要ない。「A列車で行こう9」はシングルプレイのゲームなのだ。地形データはマウスで手作りしてはいけない。「A列車で行こう9」が持つ地形のデータ表現の制約(決まりごと)を無視してむやみやたらと地図の画像を取り込むのも無茶なことだ。「A列車で行こう9」のマップの地形データは、地形の自動生成だけを使ってつくるべきなのだ。できあがりの自然さがまるで違う。逆に言えば、この違いがわからないうちはお子さまだとも言える。地形の自動生成を思い通りに使いこなすことが大人への大きな1歩となるのだ。大人は「マップ共有所」などというものに何のニーズも持たない。そもそも「無料案内所」「マップ共有所」という日本語がおかしい。あやしいものに近づいてはならない…というよりは、そもそも「マップ共有所」という表記を見てにやりとしてみせるのが大人というものだ。
「小一時間で」とは何か。「わかった!」と思える瞬間は唐突に訪れる。それがいつ訪れるのかはよくわからないが、訪れてみれば、それまでの時間は「小一時間」だったと思えるということである。ゲームを起動したが特に何も調べたり考えたりしていない時間は除いて、何かをすごくよく考えた(という実感のある)「正味の時間」を集めてみれば「小一時間」だった、といったところか。ところでごはんは炊けただろうか。
▲「ダイヤ設定」するときは「一時停止」しよう(動かしながら考えるのでなく、考えたものを設定し終えてから動かそう=動かしながら考えていると「どうしたいのか」を見失いがち)
▲プレーヤーが実際に使う(べき)順番で説明したほうがよい(ある操作の前提となる操作など、依存関係や流れを見取り図にしてほしい)
▲実車の映像や資料写真が提示されるともっとよい・「機回し経路での転車台は自動で動く」という情報はもっとアピールして!
公式ガイドブック対照表 | マニュアル対照表 | |
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ひしめきM (ひしめきあう街) | Version 4.0 公式マスターズガイド(pp.14-15) | 基本をマスター |
エアポートM (空港連絡線は続くよ) | Version 3.0 公式マスターズガイド(pp.36-37) | |
あかりM (水面に揺れる工場の灯) | Version 2.0 プロフェッショナル公式ガイドブック(pp.92-93) | |
メトロポリタンM (広域都市計画EX) | Version 1.0 公式ガイドブック(pp.98-99) | |
タ陽M (夕日町計画) | Version 2.0 プロフェッショナル公式ガイドブック(pp.90-91) | |
エキスパァM. (混迷する交通都市EX) | Version 1.0 公式ガイドブック(pp.114-115) | |
ドリームM (大都市構想EX) | Version 1.0 公式ガイドブック(pp.96-97) | ステップアップ |
マリネ屋M (砂浜とウォーターフロント) | Version 4.0 公式マスターズガイド(pp.18-19) | |
かいか家M (文明開化の薫る街) | Version 3.0 公式マスターズガイド(pp.28-29) | |
ネオン橋ブリヂM (おどる広告都市) | Version 3.0 公式マスターズガイド(pp.24-25) | |
かけはM (村の架け橋鉄道) | Version 2.0 プロフェッショナル公式ガイドブック(pp.86-87) | |
かまちM (城下町の復興) | Version 5.0 対応する公式ガイドブックは刊行されていません | |
その他のマップ |
本作には『いわゆるチュートリアル』はありませんが、最初のリリースであるA9V1に収録された11個のニューゲームが実質的なチュートリアルになっていました。公式ガイドブックにも丁寧な説明がありますが、ニューゲームを11個もやらないと全体像がわからないようになっているというのは散漫な印象も否めません。ここでは、もう少し要点だけに絞った4つのチュートリアルを考えてみました。
タイトル | A列車で行こう9 Version 5.0 ファイナル(A9V5) | |
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ジャンル | 都市開発鉄道シミュレーション | |
プレイ人数 | 1人 | |
ベーコン数 | 2枚 | |
植林数(最大) | 400,000本 | |
地形生成 | 6パラメータ(シード表示なし) | |
水田 | 水面なし | |
雑草 | なし | |
草いきれ | なし | |
踏切警報音 | 1種類 | |
列車走行音 | 速度によらず固定 | |
橋の塗装 | 変更不可 | |
橋脚・高架橋柱 | 選択不可 | |
架線柱 | 単線用1種類、複線用1種類、3線用1種類 | |
架線柱(新幹線) | なし | |
シールドトンネル | なし | |
複線分岐 | 不可 | |
車両保有数上限(車両最大数) | 鉄道車両10両編成×300本・自動車300台 | |
パンタグラフ | 11種類(取付位置データなし・昇降不可) | |
A-A基準 | なし | |
11両編成(ヤテ・スカ) | 非対応 | |
運転台 | 視点変更不可(車両中央に固定) | |
モノレール | なし | |
鉄道博物館 | 先頭車1両のみ展示(カシオペアは機関車のみ展示) | |
鉄骨番長 | 高層ビル・超高層ビルのみ | |
最適視聴距離 | 50cm(文字サイズ変更不可) | |
マイク(別売) | 非対応 | |
ヒーター(別売) | 非対応 | |
コンプレッサー(別売) | 非対応 | |
サーキュレーター(別売) | 非対応 | |
空気ばね(別売) | 使用可能(手動) | |
グラスコックピット(別売) | 非対応 | |
録画機能 | 連番キャプチャ | |
オンライン機能 | なし | |
発売日 | 2018年9月6日 | |
バージョン情報 | Version 5.00 Build 4431 | |
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