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最終更新:2023年4月2日


プレイアビリティとは

プレイアビリティ」とは、遊び道具や楽器などに備わった「遊びがい」「演奏しがい」。また、楽しさやおもしろさを妨げないこと。PCゲーム「A列車で行こう9」(※PS4版「A列車で行こうExp.」も同じ)が楽しいゲーム体験となるためには、ゲームシステム(プログラム・アイテム・メニュー)とマップ(地形データ・シナリオ)がそれぞれじゅうぶんにプレイアビリティを持つ必要がある。

プレイアビリティの内容や度合いは単一・画一的なものでなく、個々のプレーヤーの興味や習熟に応じたものが提供されることが大切である。プレーヤーが、じぶんの力量を大きく超える困難なシナリオをそれとわからないまま取り組んで挫折・放棄してしまうことは、可能な限りあらかじめ防ぐべきである。ここでは、「A列車で行こう9」「A列車で行こうExp.」における「難度」の表示と「地形の自動生成」についてまとめる。


A列車は「難しい」?

プレイアビリティについて考える前に確かめておきたいことがある。わたしたちがこのゲームを「難しい」と感じるのは、どんなときだろうか。

  1. 最初に何をしたらいいかわからない/次に何をしたらいいかわからない
    (限られた「資金」で優先して着手すべきことがどれなのかわからない)
  2. いつ何をしておかないといけないかがわからない
    (段取りや依存関係がわからない)(段取りや依存関係があるということ自体がわからない)
  3. 何をしてはいけないかがわからない/なぜいけないのかがわからない
    (失敗の原因を突き止めないままむやみにリトライしてしまう)
  4. どこに何があるかわからない/どこに何をつくればいいかわからない
    (覚える手がかりがない)(決め手がない)

俗に「マップコンストラクション(マプコン)」が『資金無限モード』と呼ばれるように、このゲームの最大の難関や試練は「資金」だと考えるプレーヤーが多い。では、ゲーム開始時の「資金」が多ければ「やさしい」のか。答えは「ノー」である。

このゲームでは、何から何までじぶんで考えて決めることが必要で、しかも、それが次々に求められる。これを「RT(リアルタイム)シミュレーション」という。幸いにも、このゲームはオフラインでシングルプレイのゲームなので、ゲームを一時停止することが許されているし、セーブしておいて休むこともできる。(どうぶつの森他社人気ゲームのように寝ている間にもゲームの時間が進んで花が咲いたり枯れたりすることはない。チェスや将棋のように「持ち時間」があるわけでもない。)それでも、ゲームを進めている間は、何も待ってくれないのだ。ここに「難しさ」がある。

※ゲームのジャンルの1つとしていう「リアルタイム」とは、どうぶつの森ゲーム機の本体内蔵時計(RTC)と連動して現実の時刻の通りにゲームの内容が動くことを指すものではない。「リアルタイム」ではないゲームは「ターン制」などという。

※ほかのゲームでは「一時停止」ましてや「ロールバック」(失敗する前のセーブデータに戻ってやり直すこと)ができなかったり、それをするのは『敵前逃亡』だとみなされたりするかもしれないが、このゲームでは「一時停止」や「ロールバック」こそが『醍醐味』である。

「資金」がいくらあっても、このゲームの「難しさ」は変わらない。『資金無限』という甘い認識のもと喜び勇んで取りかかったマップコンストラクションモードにも、挫折・放棄という事態は起きうるのである。「考える力」「決める力」が問われるという言いかたをするなら、じぶんで考えて決めるための「判断材料」や「お手本になるもの」を「調べる力」「見つけ出す力」も必要で、まさに「生きる力」が全面的に問われてくるゲームだと言うこともできよう。この意味では、「A列車で行こう」というゲームは文句なしに「難しい」

マップの「難度」を疑え

「A列車で行こう9」「A列車で行こうExp.」では、いわゆる「ゲームモード」(『経営ゲーム』)のシナリオマップ(ニューゲーム)には「難度」の表示がある。「ゲームの難易度」という意味だが、これがマップごと(シナリオごと)に表示されるのである。このことからわかるように、このゲームそのものが持つ「難しさ」とは独立に、マップごと(シナリオごと)に「難しさ」がある(と、メーカーは考えている)わけだ。

※あなたが「A列車で行こう9」「A列車で行こうExp.」について「難易度」という話をしたいときは、ゲーム全体のことを言いたいのか、特定のマップについて言いたいのかをはっきりさせないと、話が通じないだろう。また、「難易度」という言葉は客観的に使おう。単にじぶんにはよくわからなかったというだけのときに「難易度」という言葉を使うのは適切とは言えない。なお、一般に使われる「難易度」という言葉と、このゲームで使われる「難度」という言葉をしっかり区別しよう。「難度」という言葉は、前回の東京大会で流行った体操競技の用語である。転じて、古式ゆかしいファミコン雑誌では「けん玉」の「技を決める」のを競わせたり称えたりするような言いかたで、アクションやシューティングなどのジャンルのゲームに関して「難度」という言葉が使われていたと思う。試験問題やパズルやクイズの難しさを言う「難易度」という言葉とは、まとっている空気が違った。「難度」という言葉は、難しい技を1つ、2つ、3つと数えて積み上げていく感じ(目の前でそれをやりながら実況で言う感じ)で、「難易度」という言葉は、まず真ん中に平均点のようなものがあって、それより難しいのかやさしいのかを言う感じ(ぜんぶ終わってから総括して言う感じ)である。

ゲーム画面での「A難度」「B難度」「C難度」「D難度」「E難度」の表示(※PS4「A列車で行こうExp.+(エクスプレス プラス)」も共通)は、マップの「平地(標高0mの地点)」の割合と「開始時の資金額」に応じたものであると説明されている。「A難度」が最もやさしく、「E難度」が最も難しいということである。

マップコンストラクションで作成したマップを保存する際、「難度」を手動で選択または「自動設定」できる。この「自動設定」による「難度」の判定には一貫性があるという前提で、以下のように試してみた

http://www.pencil.or.jp/zairyou/zairyou2/images/zu2.gif

横軸は「開始時の資金」(単位:十億円)、縦軸は「平地(0m)」の率(%)である。横軸は対数軸にした。

この散布図のように「難度」が「自動設定」される中では、「A難度」と「B難度」の間で明確な難しさの差があるとは思えない。ほんのわずかの差で「C難度」にされる場合もあるが、そこにもゲームの難しさに明確な差があるとは思えない。「D難度」については、「平地」が少ないということを「難しい」ととらえれば納得はできる。しかし、わずかの差で「B難度」にされる場合もあることから、「D難度」というものをうまく定義できているとは到底いえない。

資金」が多ければ「やさしい」というものではない。確かに「資金」が多ければ実行可能な選択肢(大きな建物や「プロジェクト」、発電所の建設など)が増えるが、じぶんで考えて決めることが増えるということにほかならない。選択肢が少ない状況のほうが、迷わずに選べるのだ。

マップに「平地」が多ければ「やさしい」のか。どうやら、それも違う。開発可能な面積が大きければ確かに開発はしやすいが乱開発も招きやすく、あっという間に「産業構成比」がいびつになってしまうこともしばしばだ。「平地」が少なければ「難しい」とはいえるが、「平地」が多いというだけでただちに「やさしい」とはとてもいえない。

「A難度」「B難度」「C難度」「D難度」「E難度」の表示とは関係なく難しい(すべてのマップが同じくらい難しい)と思って、どんなマップにも油断しないのがよいだろう。

※このゲームのコツがつかめると、「A難度」「B難度」「C難度」「D難度」「E難度」の表示とは関係なく簡単だ(すべてのマップは同じくらい簡単だ)。「初心者はA難度のマップから」「E難度をクリアしたら“A列車達人”」などと吹聴しないこと。

最初の1歩は「ひしめきあう街」から!

「難度」の表示が参考にならないとわかったが、途方に暮れる必要はない。このゲームがまったく初めてのひとは、まず「ひしめきあう街」を開始して、特に何もせず眺めてみるのがおすすめだ。このサイトでは「入門編(のってたのしい)」として「ひしめきあう街」のマップを紹介している。ぜひ「ひしめきあう街」のマップから始めて、基本をマスターしていってほしい。シナリオマップは何度でも最初からやり直せるので、どんなことでも思いきって試してみよう。もし、地形がすごく気に入ったけれど、建物や線路がイメージと違う! …というシナリオマップがあったら、すべての建物や線路を撤去して、思い通りに敷きなおしてもよいのだ。

パソコンに慣れていないひとは、「File(ファイル)」メニューの操作(上書き保存・新規保存)を覚えよう。


▲「ひしめきあう街」にある“あの駅”が『あの駅』に見えてきたら、そういう車両に置き換えてみよう


地形を観察して想像を

じぶんで考えて決めることの難しさの最たるものは、マップのどこに何をつくれば最終的に納得のいく(自然に見える、リアルに感じられる、ゲームもうまくいく)マップになるかということである。何から先につくるかという順番は割とどうにでもなるが、どこにということを決めるのは、かなり難しい。これは現実の都市計画の難しさ(決め手の無さ:どこかでエイヤっと決める必要がある)そのものであり、だからこそ都市計画という専門分野があるのだ。

ゲームとして何か簡略化されて「やさしく」なっているかというと、このゲームではそうでもない。ゲームの画面では、ただ地形がCGで表示され、平面の「サテライト」という図が表示され、「ハイトバー」なるものが用意されているだけで、何のガイドもヒントもない。わたしたちは自力でマップの地形をつぶさに観察して、そこからヒントやガイドになる地形を見い出していくことが必要なのだ。

のいい人は既に気づいていると思うが、マップに地形(起伏)がまったくない「完全な平地」(テンプレートの「平地」)から始めてしまうと、本当に何も手がかりがない。きちんとした地形データを使ったほうが「やさしい」といえる。

地形の自動生成は50回

地形から自然に想像されるマップのテーマには共感しやすく、作者が勝手なイメージやこじつけで無理やり決めたものより魅力的。ニューゲーム(シナリオマップ)のタイトルやテーマには必ずしも納得いかなくても、地形に自然さがあれば遊ぼうと思わせられる。そのとき、線路や建物などが不自然に(強引に、あるいは意味なくランダムに)初期配置されていると、わたしたちの想像を妨げてしまう場合がある。初期配置の線路や建物はよほど慎重に検討されるか、あるいは何も配置せず地形だけにしてほしいものだ。

その意味で、このゲームには「テンプレート」が用意されているが、ここまでに挙げたマップの足元にも及ばない(いい加減にマウスで描いただけのような)地形をしている。「地形の自動生成」の機能が完成するより前に作ってしまったのだろう。「地形の自動生成」で作り直せばよい。(プレーヤーがじぶんでもできる。)いわば『テンプレートの“カスタム”』といえるのが「地形の自動生成」である。

「地形の自動生成」にはコツがある。すぐにあきらめず、最低でも50回以上は再生成を繰り返すつもりで、何度も試してみよう。設定値も変えてみて、どの設定値をどう変えるとどんな地形が生成されるのかを体感しよう。ここでは、わたしが気に入らなかったいまいちなマップやテンプレートの代わりとなる地形を、「地形の自動生成」でつくれるか試した結果を紹介する。

「地形の自動生成」で生成された地形は、基本的にそのまま使うのがいちばん美しい。細か過ぎる起伏がついて「平地」が確保できない場合や、内陸に水面が多過ぎる場合などに、そこを「平地」にする程度の軽微な修正にとどめるのがよいだろう。「川」の表現はできない。そこはあきらめよう。


シナリオマップの地形が気に入らないときは


地形の特徴・地形の複雑度

プレーの「分解能」

見立てはかどるランダム地名

路線図とマップコンストラクション


※ゲーム内の地形データの著作権はゲームソフトのメーカーに帰属すると思われます。


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