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最終更新:2024年10月10日


地理的分野に関する4技能とは

  1. 「読む」:参考資料を自ら探し出して対象を理解する技能(情報を総合する技能)
  2. 「聞く」:図表・写真・動画の内容の理解・解釈などの技能(言語化されていない情報を扱う技能)
  3. 「書く」:統制されたルールのもとで合理的に表現する技能(要件や様式に合わせる技能)
  4. 「話す」:可視化・分類・命名などを用いて説明する技能(情報を整理する技能)

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4技能と単元の対応
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六本木の中心で「都市開発鉄道会社経営シミュレーション」というジャンルを掲げるゲームの中での「マップの作り方」を、地理的分野の学習と、語学のトレーニングに倣った技能の考え方で考えてみました。美術が専門の人や、小説や脚本が専門の人が考えれば、また別の「マップの作り方」が見い出されてくるでしょう。このページの「マップの作り方」に従うだけでは、確かに「ふつう」のマップにはなるでしょうが、おもしろみには欠けるでしょう。このゲームのマップはどのように作られてほしいかということを、みなさんも考えてみてください。なんとなく楽しめるマップができたからいいやというのでなく「そもそも論」(観念的ではなく技術に根差した方法論)を大切にしましょう。

ここでは地理的分野に軸足を置いて「4技能」を俯瞰しましたが、当然ながら地理的分野の探究学習には歴史も理科も渾然一体として関係してきます。「地理的事象」を理解するための「地理的な見方」において、事象の規則性や傾向を真に理解するには空間的だけでなく時間的(歴史的)にも考察することが必要です。目先の事象を皮相的に考察するだけでなく、どうしてそうなるのかというメカニズムにも迫りたいもの。そうすると理科の範囲に入っていきますし、確率や行列といった数学も必須です。学校では地理と歴史と理科を別々に履修し、あるいは履修する科目の選択を迫られ、トータルな理解に到達する学びが保障されているとは言い難い状態にあります。そもそも何をどう学んでいくか(何をどこまで学びたいか・何を詳しく学びたいか)は個人の生涯をかけての戦略や計画に委ねるしかない部分もありますが、その基礎となる基本的な技能と知識は学校にいるうちに一定の完成を見なければなりません。

※さも難しそうに扱われる確率や行列は、もともと計算機の発展とともに発達したもの。計算機を使う限りは意外とやさしいです。中学校や高校では、計算機の歴史を物語として楽しみながら、計算機を使った工学的な数学(応用数学)の一端を体験する活動ができればよいでしょう。

このサイトでは、狭義の「マップコンストラクション」に限定せず、ゲームモード(「創作ゲーム」の制作)にも通用する「マップの作り方」に迫ります。この場合、マップを作った自分だけでなく、見ず知らずの他人にも、自分とは年齢も住む地域も違う人にも、一定の理解や満足をしてもらうことが目標になります。マップの中で表現するものについて、その意図が他人に理解されるようにすることと、そもそも多くの人から理解されやすい(共感を得やすい)ように作るということの両面から取り組んでいくことになります。ものすごく雑に言えば、どこにでもありそうな「ふつう」のマップを作る(なるべく「ふつう」にする)ということです。なーんだ、と思われるでしょうが、「ふつう」とは何でしょうか。「ふつう」ほど難しいものはないかも知れません。また、自分が表現したいものが1つあるかも知れません。しかし、それ1つだけを表現して終わりにしたり、それ以外のものはいい加減な表現をしてしまうのではいけません。マップは、マップ全体として一定の完成をしていて、なおかつ、他人がその続きで遊べる余地も持っていなくてはなりません。「マップの作り方」のコツは『作り過ぎないこと』(1つのことだけに力を入れ過ぎず全体をバランスよくすること)とも言えるかも知れません。

作者も実は知らない(?)「マップの作り方」

A列車で行こう9」のシナリオマップ(ニューゲームについては、このサイトでも紹介しているように、A9V3A9V4において“優れた”(表現に無理がなく自然で遊びやすい)マップが収録されたほかは、マップの質が安定せず、このゲームのマップをどのように作ればよいのか(つまり「マップの作り方」)を、メーカー自身もあまりよくは把握していない(担当者の引き継ぎができていない)ように見えます。公式ガイドブックを担当するライター氏が作製したという「A列車紀行」も、メイキングの記事は楽しめこそすれ、マップ本体はまったく魅力のないものにしかなっていません。

「マップコンストラクションモード」の開始時に選択させられる地形の「テンプレートも、A9V1の発売当初からそのまま、まったく見直しがされていません。これはもちろん、「地形の自動生成」の機能を使えば、遊びやすい地形や魅力的な地形が無数に生成できるので「テンプレート」を使う人はいないだろうということでもあると思いますが、「地形の自動生成」は慣れるまで(自動生成の限界を理解して納得できるまで)に時間がかかりますから、「地形の自動生成」で生成したものでよいので、こんな地形はどうですかというものが「テンプレート」に16個くらいは入っていてほしいものです。

あるいは「テンプレート」の選択という操作なしで「平地(1:1)」がデフォルトで読み込まれ「地形の自動生成」のウィンドウが開いた状態で「マップコンストラクションモード」が開始するというストレスのない動作をしてほしいということかも知れません。ひいては「ニューゲーム」のメニューから直接「地形の自動生成」が実行でき、「創作ゲーム」として登録してから読み込むという操作なしでいきなり遊べれば、もっとよいかも知れません。「A列車で行こう9」というゲームソフトは、ゲームやマップの内容以前に、このようなところがまるでの利かないソフトなので困惑させられます。しかも、こうしたことがまったくそのままでPS4に移植されたので、開いた口が塞がりません。

考えてみよう&話し合ってみよう

※1 「A列車で行こう9」の列車の運賃計算はハブスポーク「ポイント・トゥ・ポイント」です。
※2 「地形生成」という用語の定義が「A列車で行こう9」のプログラムでいうものとは異なることに注意。A列車のほうがコンピューター・サイエンスに即したグローバルに通用する定義で、カービィにおける『地形生成』という呼びかた現場でしか通用しないローカルなものととらえるとよい。


再現性とは

「A列車で行こう9」の「創作ゲーム」の発展的解消健全な普及深度化に必要なのは、人手に頼らずアルゴリズムだけで「それなりのニューゲーム」をつくれるようにすることではないでしょうか。何か大変なことや面倒なことをプレーヤーに強いるようではいけません。いままでより「楽」なのに「楽しみ」が増えれば棒棒鶏金棒です。ここでは、「地形の自動生成」によって生成された地形データだけを入力とするいろいろな処理を考えてみました。このほかにも、もっといろいろな処理が必要になるでしょう。

これまでに試作したもの

こちらもお読みください

AI(人工知能)えーあいかっこじんこーちのーの時代に考える「マップの作り方」とは

「マップの作り方」とは何でしょうか。これまでメーカーの人やわたしたちプレーヤーが、じぶんの目で見て、千本ノックじぶんの手で行なっていた作業が、実は人間にしかできないことではなかった(たいして『知的』ではなかった)とわかるのはショックかもしれません。あるいは、最新の深層学習(ディープラーニング)を使って、完全なブラックボックスのかたちで(『意味』を考えず)地形データに建物を配置してみせる開発者も現れるかもしれません。しかし、「マップの作り方」とは何でしょうか。やはり、わたしたちが手作業で行なってきたかたちに近い(ボトムアップな)アルゴリズムによる結果と対比してこそ、さまざまな考察ができるというもの。千本ノックわたしたちの手作業での「マップの作り方」も、じゅうぶんに熟練すれば、同じ地形データが与えられたとき、誰でも何度でも、だいたい同じように地形を解釈し、だいたい同じような路線網をつくるということになるはずですし、そうでなければ熟練とはいえないと思います。「マップの作り方」とは何でしょうか。わたしたちこそがアルゴリズムなのかもしれませんね


目次


(このサイトの初版公開:2018年8月1日、地域の土地利用の初出:2018年9月28日、地形が気に入らないときはの初出:2019年7月1日、駅名のつけ方の初出:2020年2月10日)


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