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ダイヤとは何か。ダイヤを「組む」「描く」とは。「時刻表」との違いは。「地上」と「車上」、「スジ」と「行路」。実際の施設をよく知ろう。そして数理最適化へ。(最終更新:2025年2月19日)
日本語でいう「ダイヤ」「ダイヤグラム」は、文脈により異なるものを指します。
どのようなダイヤを作ればよいか(かっこいいダイヤの組み方)ではなく、どのようにすればちゃんとしたダイヤができあがるのかを理解して、どんなダイヤでも作れるようになろうではありませんか。
「A列車で行こう ダイヤ作成」と検索する人が多いといいます。あなたがしたいのは、本当に「ダイヤ作成」でしょうか。「A列車で行こう」というゲームの中でかっこよく特急列車を走らせたいということではなかったのでしょうか。そのことが「ダイヤ作成」という言葉で検索できると本気で思っているのですか。いいえ。もっと何もわからないので検索しているわけです。まずは検索して調べようという意欲に敬意を表しながら、あなたが本当に知りたかったことへ近づくお手伝いができればと思います。
市販の時刻表を入力してダイヤグラムを描くような、じぶんのオリジナリティが生じない作業を「作成」と言い、じぶんは主役ではない、本物の時刻表こそが主役ですよと、じぶんを下げる感じの言いかたです。一方、架空の鉄道のダイヤグラムを(空想で)考えて楽しむときに「ダイヤをつくる」と言ってしまうと、じぶんのすることをじぶんで持ち上げすぎる(自画自賛な)感じになってしまいます。
本作のメーカーは自主製作のゲームを発表することは本業ではないので、ほかのメーカーと比べると製品のライフサイクルが長く、バージョンアップされてもあまり代わり映えしません。そのような息の長いゲームでは客層が固定化・高齢化してしまいがち。このメーカーは新製品を発表するたびに「初心者」という言葉を使って『新入生』を呼び込もうとするようですが、そのねらいが「初心者」という言葉で伝わるのか、目的を達成できるのかには大きな疑問があります。それはさておき、「A列車で行こう」というゲームを楽しんでいこう、あわよくば華麗に「攻略」してみせてメーカーにぎゃふんと一泡吹かせようと考えるわたしたちは、むやみに自画自賛するのでなく、かといって自主性を完全に否定されたしゃ家畜のような目で「作業」などと呼んで無表情で黙々とプレーするのでもなく、最もふつうのやり方を調べて、じぶんのゲーム(のマップ)でうまく表現していくことを目指しましょう。最もふつうのやり方は、先人たちが築き上げた公共財。それを無視して勝手なことをするのも、何か思い付きでしたことを自慢するのも、とんでもないことだと知っておきましょう。
なお、メーカー公式のものも含め「A列車で行こうシリーズ」に関するコンテンツでは「衝突」という言葉が配慮なく使われていますが、あなたは「衝突」という言葉を使ってはいけません。進路(列車を進ませる先の線路)が“早い者勝ちの奪い合い”になるようすを抽象的な(ダイヤグラムという図面の上でのデータとして見る)文脈で「コリジョン(collision)」と呼ぶのはかろうじて許されるかもしれませんが、そもそもダイヤを考えるときに列車に視点を置くのが適切ではありません。じぶんの不勉強を棚に上げて「しゃ,社長! シュッポッポのやつらが線路上で正面衝突です!」「なにぃ,さっそくビルを建てたまえ」「衝突こそA列車の醍醐味」と言わんばかりの態度をとることがどれだけとんでもないことか、言うまでもないでしょう。「ダイヤ設定」を正しい手順で行なう限り「衝突」は起きないのですから、その状態を何と呼ぶかも、そもそも考えなくてよいといえます。日本語では「ダイヤ」と「ダイヤグラム」が別の言葉であるように、「衝突」と「コリジョン」も別の言葉。翻訳したら同じ意味の言葉だからといって、どちらを使ってもいいということにはならないのが日本語です。
市販の紙の時刻表(「JR時刻表」「JTB時刻表」「貨物時刻表」)だけを「時刻表」と呼びます。駅のホームにあるものは含みません。「当駅」の発車時刻(駅場面)が一覧できるだけでは、路線全体のダイヤがわかりません。
「JR時刻表」「JTB時刻表」「貨物時刻表」を自腹で買って枕の下に常に手元に置いて何かにつけて開くという生活をしばらく送れば、鉄道に関するたいていの疑問は氷解します。市販の紙の時刻表をまったく触らなくても生活上は困らないですが、「A列車で行こう」というゲームをプレーしようとするときの準備(あらかじめ知っておくこと・やっておくべきこと)としては不十分です。
デザートは食事の後で
「A列車で行こう9」(PS4「A列車で行こうExp.」を含む)は、あくまでゲームです。ゲーム内で「自動発展」を進めるのに適した運行は、必ずしもリアルであるとか見ていて楽しいとか、そういうものになるとは限りませんというか、そうではないことのほうがほとんどです。このゲームでダイヤグラムを描いてまで細かい運行をしてみようというのは、「自動発展」があらかた終わって、マップの変化がほとんど止まってからの、いわば「食後のデザート」のような楽しみなのです。
逆にいえば、ダイヤグラムを描いてまで「A列車で行こう9」の列車を凝った運行にするからには、見栄えのいい、かっこいい運行にしたいものです。ダイヤグラムだけをなんとなく実在の鉄道会社と同じように描くだけでは、「A列車で行こう9」の画面上でかっこいいとは限りません。「A列車で行こう9」の仕様をよく理解し、映像としての見栄えのコツを探っていきましょう。
- ハンバーガーのピクルスを残して
×ッピーセットのおもちゃだけ手に入れようとしない- きちんとした食事をとる(おやつを食事代わりにしない)
- デザートがつく食事はじゅうぶんな時間をかけてゆっくり食べる
- デザートは盛り付けの美しさをきちんと愛でる
- 食事とともに会話を楽しむ(その場にふさわしい話題の引き出しをたくさん持つ)
- 食事中に写真や動画を撮らない(店だけでなくホームパーティーでも):料理の写真を撮るときは撮影用に特別に用意する(人の食べかけを写さない)
- 食事にジュースをつけてよいのは朝食だけ(朝食は体を目覚めさせるためのもの):フルーツの代わり(皮や種の手間を省いたもの)
実際の施設をよく知る
「A列車で行こう9 時刻表」という検索でこのサイトを訪れたあと、さらに不服そうに「A列車で行こう9 時刻表データ」という検索で、やはりこのサイトを訪れたひとがいました。実際の鉄道の時刻表をネットから取ってきてゲーム内に貼り付ければリアルになるとでも考えたのでしょうか。とんでもない話です。…と思ったら、「OuDia」のページに「鉄道の時刻表データをもとに、ダイヤグラム(列車運行図表)を描画するソフトウエアです。」と書かれていました。わけもわからずに「OuDia」をインストールしたけれど途方に暮れたひとがネットで探してまわる「時刻表データ」とはなんでしょうか。そんなものはありません。(あってはいけません。)「A列車で行こう9」では、あなた自身がじぶんのマップに引いた路線網のダイヤ(運行計画)をゼロからつくるのです。糸井さんのサイトで「スジ屋」を読んでから、「おきらく娯楽工房」さんのサイトで、例えば埼京線の施設とダイヤを勉強するとよいでしょう。
ゲームのマニュアルや公式ガイドブックでは、ゲームの説明としてわかりやすくするため、本物の鉄道とは異なる独特の省略や言い換えがなされています。ゲームだけをしている分には困りませんが、あなたがゲームを卒業してから改めて実際の鉄道について学んでいこうとするときには、ゲームで仕入れた変な知識が、学びの妨げになりかねません。できるだけ最初から本物をそのまま素直に学ぶことが非常に大切です。ゲームでは他人とは違うとか他人よりすごいといったことを目指す傾向がありますが、本物の鉄道にそんな考えはありません。すべての鉄道は同じ法令に従って動きます。考えかたは人それぞれだというものではなく、合理性のある一定の考えかたに収れんするものです(えらいひとがルールを決めてみなに強制しているのでなく、ルールそのものが合理性を持っているからこそみなが従うのです)。ザッハリッヒ。ゲーム「A列車で行こう」の中でプレーヤーがすること(じぶんでしないとゲームが動いてくれないこと)は多岐にわたります。漠然と「ダイヤ作成」という言葉だけでぜんぶを言おうとするのは無理があります。1つ1つの細かい呼びかたを正確に知る、そのために調べていく過程をも楽しみましょう!
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