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最終更新:2026年8月18日
Google「AIモード」によるレビュー
──地形データを定量化するために定義された9つの変量(V1~V9)について
V1:地形の複雑度(被説明変数 / 目的変数)
- 定義: 「平地」の輪郭のピクセル数 / 「平地」のピクセル数
- 役割: 本解析の主軸となる変数です。同じ面積の平地であっても、その形状がいかに細かく入り組んでいるか(リアス式海岸、複雑な山裾、蛇行する河川など)を定量化します。円形に近いほど値は小さくなり、境界線が複雑なほど値は増大します。この数値が、マップ開発における「手応え」や「遊び心地」を左右する中心的な指標(プレイアビリティの根拠)として位置づけられています。
V2:「-10m」以下の占有率
- 定義: 「-10m」以下のピクセル数 / 65536(全ピクセル数)
- 役割: マップ全体(256×256)に対して、一定以上の水深(-10m以下)を持つ「深い水域」がどの程度の割合で存在するかを示します。広大な海を持つマップでは高い値を示し、陸地主体または浅瀬のみのマップでは低い値となります。マップの「海洋性」を測る指標です。
V3:山の険しさ(高さの支配的印象)
- 定義: 「山」のピクセルの「高さ」の「平均値」「中央値」「最頻値」のうち最大のもの / 230(最大標高)
- 役割: 単一の統計量(平均値など)に依存せず、3つの代表値の中から最も大きい値を採用することで、プレーヤーがそのマップから受ける「山の高さの支配的な印象」を抽出します。なだらかな丘陵地帯(低い値)か、険しくそびえ立つ高山地帯(高い値)かを区別するための指標です。
V4:山の体積(総盛り土量)
- 定義: 山の標高とピクセル数の総和 / (256×256×230)
- 役割: マップという256×256×230の空間容積に対して、山地がどれだけの容積を占めているかという「総量」です。V3が「高さ」という質的な険しさを示すのに対し、V4は「嵩(かさ)」という量的な規模を示します。マップ全体の起伏の激しさを、空間的なボリュームとして捉えたものです。
V5:外周の平地比率
- 定義: マップ全周(1020ピクセル)における「平地」のピクセル数 / 1020
- 役割: マップの四辺(外縁部)にどれだけ開発可能な「平地(標高0m)」が接しているかを示します。これはゲームプレイにおいて、隣町と線路や道路を接続する際の「窓口」の広さを意味し、開発の拡張性や外部との接続性を左右する立地条件を数値化したものです。
V6:外周の水面比率
- 定義: マップ全周(1020ピクセル)における「水面」のピクセル数 / 1020
- 役割: マップの四辺がどれだけ「水面」に面しているかを示します。V2(深海)と連動することが多く、マップが「半島」のように海に突き出しているのか、あるいは「内陸」に位置しているのかといった、地理的なシチュエーションを反映します。
V7:水面の重心の偏り
- 定義: 「全『水面』の重心」から「マップの中心(128, 128)」までの距離 / (128×√2)
- 役割: マップ内に存在するすべての水面ピクセルの座標平均(重心)を算出し、それが幾何学的な中央からどの程度離れているかを測ります。大きな湖が中央にある(低い値)か、あるいは特定の端に海が寄っている(高い値)かといった、水域の配置の「偏り」を示します。
V8:山の重心の偏り
- 定義: 「全『山』の重心」から「マップの中心(128, 128)」までの距離 / (128×√2)
- 役割: 水面と同様に、山地がマップのどこに固まっているかを示します。中央に山がそびえる構成(低い値)か、あるいはマップの隅に山脈が押し寄せている構成(高い値)かという、山地の配置の「偏り」を数値化します。
V9:レイアウトの対比(重心間距離)
- 定義: 「全『水面』の重心」と「全『山』の重心」の直線距離 / (256×√2)
- 役割: マップ内における「水の塊」と「山の塊」がどれだけ離れているかを示します。山と海がはっきりと分かれて対峙している(高い値)か、あるいは山と海が近接し、複雑に入り混じっている(低い値)かという、マップ全体のマクロな構成(レイアウト)を決定づける最広域の指標です。
/>これらの変量は、地形データ(ハイトマップ)が持つ「標高」と「平面座標」の情報を組み合わせ、マップの性質を客観的に記述するために設計されたものです。すべての変量は、理論上の最大値で除算する「正規化」が施され、0.0から1.0の範囲内の数値として扱われます。
ハイトマップの枠組み(正方形、長方形、円形など)に合わせて分母を適切に修正し、幾何学的な基準点を再定義した場合、これら9つの変量は「地形固有の特徴量」へと昇華されます。これは、マップというキャンバスの形状や解像度という「外枠の都合」に左右されず、その中に描かれた地形の本質的な性質を数値化することを意味します。
- 形状の複雑性(V1)
枠が何形であっても、平地の面積に対してどれだけ複雑な境界線(海岸線や山裾)を持っているかという「入り組み具合」を純粋に示します。- 素材の占有率(V2~V4)
マップ全体の広さや容積に対する、深海や山の「含有量」を示します。分母を総ピクセル数や総容積に置換することで、キャンバスの形を問わない「組成比」となります。- 境界の開放性(V5, V6)
「縁(ふち)」の全域において、陸地(開発可能地)と水面がどの程度の割合で接しているかを示します。円周であっても四角い外周であっても、外部との接続条件という性質は変わりません。- 配置の構図(V7~V9)
地形の塊が中心に集まっているのか、外縁に追いやられているのか、あるいは山と海がどれだけ離れて対峙しているのかという「レイアウトの骨格」を示します。基準点からの相対距離として正規化することで、構図のパターンを抽出できます。このように変量を定義し直すことで、異なる形状のマップ間であっても、「地形の険しさ」や「複雑さ」を同一の指標で比較・分類することが可能になります。
──地形データを分類・評価するための「回帰木(CART法)」を用いた数理的プロセスと、その評価体系について
- 回帰木(CART法)によるモデルの構築
この解析では、地形の「複雑さ」という抽象的な概念を客観的な数値で説明するために、統計解析環境「R」のパッケージ「rpart」を用いた回帰木(Classification and Regression Trees)が構築されています。
- 目的変数(被説明変数)の選定:
地形の入り組み具合を直接的に示す「V1(平地の輪郭ピクセル数 / 平地のピクセル数)」を、解析の主軸となる目的変数に据えています。これは、地形が開発のしやすさや景観の複雑さを決定づける「結果」であるという仮説に基づいています。- 説明変数の総当たり:
V1を説明するための要因として、V2からV9までの8つの変量(深海率、山の険しさ、体積、外周状況、重心の偏り、および重心間距離)を投入します。CART法は、これらの多変量データを総当たりで調べ尽くし、最も効率的にV1の差異を説明できる「分岐点」を自動的に見つけ出すアルゴリズムです。これにより、人間が恣意的に変数を選ぶ「変数選択法」よりもエレガントで客観的な解析が可能となります。- 教師データによる学習:
モデルの精度を担保するため、ゲーム内の「地形の自動生成」機能から人の目で見て選んだ20個の地形データを「教師データ(トレーニングデータ)」として使用しています。これにより、アルゴリズムは「どのような数値の組み合わせが、どのような地形的特徴を生むのか」を学習し、未知のマップを分類するための「木」を完成させます。- 地形の特徴(Type A~H)への分類
回帰木の最下段(終端ノード)に到達したデータは、その数値的特性の類似性に基づき、最終的に8つのグループに分かれます。
- 命名の基準:
これら8つのグループを、V1(複雑度)の平均値が小さい順に「Type A」から「Type H」と便宜的に命名し、これをそのマップが持つ「地形の特徴」と定義しました。- 分類の意味:
この分類は単なる数値の大小ではなく、「山の標高が高いか(V3)」や「水面と山の重心は離れているか(V9)」といった幾何学的な条件分岐の集積です。例えば、同じ「複雑な地形」であっても、それが「山が険しいことによる複雑さ」なのか「海岸線が入り組んでいることによる複雑さ」なのかを、地質学的なプロファイルとして区別することを可能にしています。- 地形の複雑度ラベルとプレイアビリティの評価
分類された特徴(Type)とは別に、V1という数値そのものを「地形の複雑度」という指標で評価します。
- 対数的な区間分け:
V1の値を対数的に5つの区間に分け、低いほうから順に以下のラベル(評価名)を付与しています。
- Poor / Average / Good / Excellent / Too Complicated
- プレイアビリティ(遊び心地)の定義:
ゲームとしての遊びやすさを「プレイアビリティ」と呼び、以下のように価値判断を行います。
- 「Good」:標準的で問題のない複雑さ。
- 「Excellent」:特別に優れた、開発しがいのある複雑さ。
- 「Poor / Average」:平坦すぎて工夫の余地が少ない、または単調。
- 「Too Complicated」:複雑すぎて線路や建物の配置の自由度がなさすぎる。
- 評価の結論:特徴と複雑度の「つりあい」
このモデルの最終的な結論は、マップの良し悪しを単一の数値で決めるのではなく、「地形の特徴(Type)」と「地形の複雑度(ラベル)」が意味のあるかたちで「つりあっているか」という視点にあります。
- 楽しさの指標:
「地形が険しい(Type)」なら、それ相応の「複雑さ(Excellent)」があるべきであり、この「つりあい」が取れている状態を「楽しい(プレイアビリティが高い)」と判断します。──「R」を通じた「探究型学習」と「工学」
「R」を採用する方針は、手計算が困難な処理を標準ライブラリで「断然ラクに」遂行する実利にあります。しかし、単なる自動化を良しとせず、あえてExcelを併用した手作業(コピー&ペースト)を介在させます。これは、計算結果に依存せず、データを扱う責任が自分自身にあることを自覚させるための規律です。道具自慢を禁じ、流行に左右されない「生のR」を用いることで、客観的に「できているか」を自問する論文的誠実さを求めます。
実務(工学)の現場で高機能なツールを使う際、マニュアル通りに操作するだけの人になるのか、あるいは背後の処理を「あたかも自分でRを叩いているかのように」生々しく認識できる人になるのか。この「中身を見抜く解像度」を養うことこそが「探究」のゴールです。将来的に自力で実装する機会は「きっとない」としても、一度でも原理に触れた経験が、専門領域への敬意と深い理解の土台となります。
──「過学習の利用」
通常の機械学習では「敵」とされる過学習を、アンサンブル学習ではあえて「個々のモデルの表現力を最大化する(バリアンスを高める)」ために利用し、それを束ねることで弱点を補い合うという逆転の発想が取られています。
- ランダムフォレスト(バギング系):
個々の決定木を深く成長させてあえて過学習(高バリアンス)の状態にします。しかし、それらを大量に集めて平均化することで、過学習によるノイズ(バラツキ)を打ち消し、モデル全体の汎化性能を劇的に高めます。- GBDT(ブースティング系):
前のモデルが過学習したり間違えたりした「残差(難しいデータ)」を、次のモデルが重点的に学習します。過学習しやすい性質を「特定のパターンへの執着心」として利用し、それを積み重ねることで精度を極限まで高めていきます。「木を見て森を見ず」という過学習の状態を、「違う見方で過学習した木をたくさん集めれば、全体として正しい森が見える」という形に昇華させているのが面白い点ですよね。
(この検索は2026年3月5日に行ないました)
地学といえば産総研。産総研の動画を見ながらも、目の前の「A列車で行こう9」というPCゲームの前に戻ってきて、いざ解析。
PCゲーム「A列車で行こう9」のゲーム画面では、プレーヤーが開発に取り組むゲーム内の空間(「マップ」)全体を俯瞰する「サテライト」と呼ばれる子画面が用意されている。標高によって色分けされ、建物や線路などが種類ごとに色分けされて示される。ゲーム中に表示させておくことによって、列車がどこを走っているという運行状況を一覧したり、クリックして目的の地点にすばやく移動することに使える。さらに、「サテライト」を上を北に固定する設定と、視点(※3DCGでいう「カメラ」)の向きにあわせて回転させる設定とを切り替えることができ、列車に乗車している気分で「マップ」を鑑賞できる「車窓モード」(※なぜか「車窓」とはいうが運転台からの前方のビュー)で「サテライト」を回転させれば、カーナビのような感覚が楽しめる。
「A列車で行こう9」の「サテライト」は、セーブ・ロードの画面ではゲームの進行状況を示すサムネイルの役割を持たされている。公式ガイドブック(全4冊)の「マップ攻略」でも「サテライト」の画像が掲載され、文字では「産業構成比」「都市情報」「資金」「交通施設」と「主な施設」が列挙されている。しかし、そのマップがどんな地形なのかを数量的に示すには至っていない。あくまで「サテライト」の画像(標高を色分けして示したもの)を見よということにされている。人の目で画像を見ているだけでは『データ』ではない。
「A列車で行こう9」というゲームの中ではなぜか「サテライト」という呼びかたではあるが、これは地形図である。建物や線路などがない状態では、マップ全域の土地の高低や起伏を正確かつ完全に読み取ることができる。ここでは、この「サテライト」の画像をキャプチャ(※Windowsの通常の操作である[Print Screen]キーを使用)して『データ』をつくってみよう。
※諸般の事情により、セーブ・ロードの画面に表示される256×256ピクセルの状態でキャプチャする。「建造物初期化」を実行しておく。こんなことをしなくても済む「ハイトマップのエクスポート」が追加されることに期待しておく。

▲スクリーンショットからトリミングして、このような256×256ピクセルのPNG画像を用意してほしい
| height | pixels |
|---|---|
| 230 | 8 |
| 220 | 14 |
| 210 | 24 |
| 200 | 37 |
| 190 | 34 |
| 180 | 55 |
| 170 | 118 |
| 160 | 122 |
| 150 | 198 |
| 140 | 247 |
| 130 | 334 |
| 120 | 443 |
| 110 | 536 |
| 100 | 686 |
| 90 | 728 |
| 80 | 774 |
| 70 | 824 |
| 60 | 966 |
| 50 | 1061 |
| 40 | 1111 |
| 30 | 1282 |
| 20 | 1513 |
| 10 | 1497 |
| 0 | 32523 |
| -3 | 3364 |
| -10 | 2099 |
| -20 | 1896 |
| -30 | 1240 |
| -40 | 728 |
| -50 | 570 |
| -60 | 594 |
| -70 | 804 |
| -80 | 9106 |
このままでは「サテライト」の画像と同じく、割合(面積)を見て何か言うことしかできない。地形の特徴をあまさず表現する「多変量データ」にしていこう。1つ1つの「変量」は、アンケートの設問のようなものと思ってもよい。「あなたはどんな人ですか」と聞かれても答えに窮すが、具体的な設問が9つあって順番に答えると「こんな人です」ということが浮かび上がるイメージだ。
ここでは「このマップはどんな地形ですか」ということが知りたいので、「サテライト」の画像を人の目で見たときに読み取ることができるさまざまなことがらを、地形データ(ハイトマップ)を使って表現していく。このデータには「平面の座標」と「標高」という、実質的に2種類の情報しか含まれていないので、この情報から言えることだけを言うことになる。

▲色はこちらを参考にした
| color | pixels | ||
|---|---|---|---|
| #585757 | 5182 | 7.9% | 山 |
| #878787 | 4420 | 6.7% | |
| #b4b4b4 | 3010 | 4.6% | |
| #dbdcdc | 35887 | 54.8% | 平地 |
| #1bacfa | 7931 | 12.1% | 水面 |
| #1293f9 | 9106 | 13.9% |
これらを組み合わせ、なるべく重複しないよう考えたのが、以下の9つの変量である。とりうる最大値で割る「正規化」をしておこう。
※すべて文字で書いていることをお許しいただきたい。「/」は割り算の記号である。分数のように見て、「/」の左側を分子、右側を分母と思ってもらいたい。
【注意】このゲームでの「空間」は現実とは異なり、“地球の丸み”がない。現実の地図(地理院地図)やGISとの間でのデータ交換などは行なわせないことを強く推奨する。ここは数学らしく取り組むことに徹し、このゲームでの「空間」の(数学上の)表現に沿って、いわば『このゲーム限りのGIS』を自作するような取り組みをさせたい。その上で、現実の地図やGISにおける実務的な種々の工夫や計算上の注意などにつなげてほしい。
フリーの統計解析環境「R」を用いても算出できるが、ここでは自作のツール「点・望・山(M243-11Y)」および「PAL8-CNV ~ぱるはちこんぶ~」を用いた。
ここで得た「V1」から「V9」までの各変量間における相関係数行列を以下に示す。当然ながら「V7」「V8」「V9」の3変量は互いに相関係数が高い。次に「V2」と「V6」の相関係数が高い。「V1」とほかの8変量との間では、極端に低い相関係数は出ない。(「V1」「V5」「V8」の間で互いに相関係数が高いと見ることもできる。)「V7」「V8」「V9」の3変量と、ほかの「V1」を除く5変量との間では、「V5」と「V8」、および「V3」と「V7」の相関係数が高い。一方、「V5」と「V7」の間では相関係数が最も低い。
| V1 | V2 | V3 | V4 | V5 | V6 | V7 | V8 | V9 | |
| V1 | 1 | ||||||||
| V2 | -0.312 | 1 | |||||||
| V3 | -0.367 | 0.149 | 1 | ||||||
| V4 | 0.485 | -0.369 | 0.485 | 1 | |||||
| V5 | -0.603 | -0.054 | -0.127 | -0.566 | 1 | ||||
| V6 | -0.191 | 0.769 | 0.277 | -0.113 | -0.263 | 1 | |||
| V7 | -0.246 | -0.285 | 0.456 | 0.302 | -0.006 | -0.235 | 1 | ||
| V8 | -0.522 | -0.027 | 0.226 | -0.31 | 0.554 | -0.216 | 0.454 | 1 | |
| V9 | -0.425 | -0.089 | 0.392 | -0.018 | 0.267 | -0.228 | 0.836 | 0.824 | 1 |
次に、「R」の「rpart」を使って「回帰木」を作成した。
「V2」から「V8」までの変量を使って「V1」を説明する回帰分析の結果を「木」のかたちで示したものだ。最下段で8つに分かれる。これを左から(「V1」が小さい順に)「Type A」「Type B」「Type C」「Type D」「Type E」「Type F」「Type G」「Type H」と便宜的に呼ぶこととし、地形の特徴とした。この8つの中では、「V1」が小さい順のほかに順序はない。
「回帰木」は、(1)すでによくわかっているデータ(※1)を使って作成し、(2)よくわからないデータ(※2)が「木」のどこに分類されるか(すでによくわかっているデータのどれと似ているか)を調べるという使い方をする。
※1 「トレーニングデータ」「正解データ」「教師データ」などと呼ぶ。
※2 「テストデータ」「学習に用いないデータ」などと呼ぶ。
ここ(※自作のツール「点・望・山(M243-11Y)」)では、この(1)すでによくわかっているデータとして、このゲームに搭載された機能である「地形の自動生成」を使用して生成した地形データの中から、人の目で見て選んだ20個の地形データを使用した。
※「回帰木」の最下段の通りに並べた。なお、「回帰木」の最下段の枠の中の数字は、そこに分類されたデータにおける「V1の平均」である。「木」のかたちで表示する都合上、「V1」の大小が入れ替わって並んでいる部分もある。
※「V1」から「V9」までの変量は、この数字の順に思いついたわけではない。なるべくプレーンなものを前のほうに、もはや屁理屈ではというようなものを後ろのほうに並べた。そのようにして「V1」になったものを、被説明変数(目的変数)にすることにしたという順番である。
ここで「V1」という変量だけを単独で見ることを地形の複雑度と呼ぶこととした。「V1」の値を対数的に5つの区間に分け、低いほうから「Poor」「Average」「Good」「Excellent」「Too Complicated」というラベル(値の区間の名前)を与えた。
ゲームとしてのプレイアビリティは、地形の複雑度が「Good」なら問題なく、「Excellent」なら特別に優れ、そのほかは「Good」より劣ると判断してよい。「プレイアビリティが低い(線路や建物の配置の自由度がなさすぎるかありすぎる)」ということは『難易度が高い』(考えることやすることがたくさんある)ということであり、決して「つまらない」とか「取るに足らない」とは限らない。もちろん、マップのよしあしは地形の特徴と一体で考えるべきもの。地形の特徴と地形の複雑度が意味のあるかたちでつりあっていれば楽しい、つりあっていなければ楽しくない、と考えるとよい。
| 地形の 特徴 | 地形の 複雑度 |
V1 | V2 | V3 | V4 | V5 | V6 | V7 | V8 | V9 | 平地 (%) |
水面 (%) |
|
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ひしめきM | Type D | Good | 0.12 | 0.05 | 0.35 | 0.12 | 0.31 | 0.20 | 0.73 | 0.16 | 0.45 | 32.5 | 5.4 |
| エアポートM | Type D | Good | 0.14 | 0.08 | 0.46 | 0.11 | 0.31 | 0 | 0.38 | 0.15 | 0.27 | 53.3 | 8.2 |
| あかりM | Type D | Average | 0.06 | 0.33 | 0.44 | 0.04 | 0.43 | 0.40 | 0.39 | 0.15 | 0.23 | 52.2 | 33.4 |
| メトロポリタンM | Type D | Excellent | 0.17 | 0.06 | 0.30 | 0.07 | 0.24 | 0.16 | 0.48 | 0.15 | 0.31 | 55.7 | 6.1 |
| タ陽M | Type D | Poor | 0.04 | 0.13 | 0.49 | 0.05 | 0.36 | 0.40 | 0.53 | 0.32 | 0.42 | 70.8 | 13.0 |
| エキスパァM. | Type E | Poor | 0.03 | 0.31 | 0.29 | 0.02 | 0.12 | 0.52 | 0.36 | 0.58 | 0.44 | 57.2 | 31.0 |
| 一級河川の川リバーM | Type D | Good | 0.12 | 0.09 | 0.46 | 0.14 | 0.28 | 0.17 | 0.51 | 0.26 | 0.38 | 44.0 | 9.0 |
| ゆだM | Type D | Good | 0.13 | 0.00 | 0.55 | 0.22 | 0.27 | 0 | 0.41 | 0.04 | 0.23 | 35.8 | 0.4 |
| ネオン橋ブリヂM | Type H | Good | 0.09 | 0.05 | 0.39 | 0.06 | 0.46 | 0.16 | 0.15 | 0.13 | 0.06 | 68.9 | 5.0 |
| かまちM | Type H | Average | 0.06 | 0.02 | 0.47 | 0.08 | 0.62 | 0.01 | 0.12 | 0.07 | 0.05 | 70.8 | 2.3 |
| 三日月島MV | Type D | Too Complicated |
0.35 | 0.33 | 0.57 | 0.17 | 0.08 | 0.40 | 0.27 | 0.19 | 0.23 | 20.9 | 32.6 |
| 10ヴォスM | Type F | Excellent | 0.17 | 0.34 | 0.30 | 0.03 | 0.24 | 0.07 | 0.04 | 0.11 | 0.07 | 47.8 | 34.1 |
| ドリームM | Type A | Poor | 0.04 | 0.08 | 0.49 | 0.03 | 0.58 | 0.16 | 0.29 | 0.59 | 0.39 | 82.9 | 7.7 |
| マリネ屋M | Type F | Average | 0.06 | 0.42 | 0.31 | 0.01 | 0.61 | 0.19 | 0.21 | 0.44 | 0.12 | 50.7 | 41.7 |
| かけはM | Type D | Average | 0.07 | 0.10 | 0.66 | 0.29 | 0.00 | 0.20 | 0.53 | 0.14 | 0.34 | 17.1 | 9.8 |
| スタァライト川崎M | Type D | Average | 0.06 | 0.01 | 0.56 | 0.22 | 0.14 | 0.01 | 0.28 | 0.16 | 0.20 | 40.6 | 1.0 |
| ストライドM | Type H | Average | 0.07 | 0.15 | 0.72 | 0.25 | 0.34 | 0.00 | 0.09 | 0.06 | 0.06 | 38.1 | 15.0 |
| ハーイおばけM | Type E | Poor | 0.05 | 0.39 | 0.45 | 0.08 | 0.12 | 0.43 | 0.34 | 0.50 | 0.42 | 33.7 | 39.5 |
詳細は以下のページに譲る。
多変量解析のおもしろさを伝える題材として「卵の形は産む数や環境要因、巣の特徴などと関係がない一方で、「ハンド・ウイング指数」が最も高い、つまり最も効率的に飛べる鳥は、卵の非対称性または楕円率が最も高いことがわかった」(2017年6月27日)がおすすめである。理科の単元にとらわれ、いわゆる重回帰分析だけで終わるような展開では物足りない。
Excelと高校の数学だけでできることしかしないという展開には感心しない。「地理探究」などの探究型学習に関連し、応用地質・みずほ情報総研・インキュビット「複数の地形的特徴から土砂災害の危険性がある地域を抽出するAIモデルを開発」(2019年9月2日)といったニュースを漠然と見るのでなく、具体的な計算や特徴量の用意のしかたをイメージさせる必要がある。ここでは人の目で見て人の頭で考えて(やっとのことで)9つの変量を得ているが、これを自動的に無理やり見つけてくれるのが「ディープラーニング」であるという説明のしかたもできる。
いわゆる空間統計学の教科書に則りながらの、工学の現場で通用する実際的な計算法については関知しない。それは工学であって理数探究ではない。プロの道具をおもしろがって勝手にいじるようなことはさせない。プロはそれをものすごく嫌う。
わたしたちは基本的に「R」を使うほかない。例えばExcelVBAやPythonでじぶんでコードを書く(生徒に書かせる)ためには、これ(黒板と紙に手で書ける数式)をぜんぶ自力で書いて説明して他人を納得させることができないといけない。
西陣織で星月夜。このページで「回帰木」という呼び方で紹介しているものは「CART法」という名前で発表されたもので、その考案者はのちに「ランダムフォレスト(Random Forest)」を提案している。特定の分野では「決定木」「決定木分析」と呼んできた(すべて手作業で作成する場合すら含む)が、わたしたちがこれから取り組む「理数探究」としては、数学と統計学の諸概念や用語に照らして一般化した呼び方である(応用には踏み込まない)「回帰木」という名前を使うことが強く望まれる。「CART法」は、与えた多変量データを総当たりで調べ尽くしてくれるアルゴリズムである。影響の大きいものだけを選択的に見ていく「変数選択法」による重回帰分析や手作業の混ざる(昔の、あるいは文系の)「決定木分析」よりも、はるかにエレガントな方法であるといえる。半端な形ではあるが「ランダムフォレスト(Random Forest)」に通じてゆく、機械学習の入り口と捉えさせるようにしたいものである。よりクラスタリングに片足を乗せた実用的な方法として「ID3」「C4.5」の系統があるが、折衷的な方法であるので「理数探究」で取り上げるのは妥当でないと考えられる。幾何学へのいざないとしては「最小全域木(MST)」「アルファシェイプ(α-shape)」「凸包(convex hull)」などにつなげられるだろう。
(初版公開:2020年5月29日、改訂:2022年5月11日)
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