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ゲームの上にも10年:エバーグリーンなヒントとテクニック。(最終更新:2024年5月28日)


いろいろな立体交差

ゲーム「A列車で行こう9」の中でいう「立体交差」は変な多義語であり一般語であります。どの「立体交差」のことをいうのかと、それを一般的にはどう呼ぶのかを知っておきましょう。その構造を使うことの利点などについては、現実のそれに学びましょう。


「立体交差駅」



このゲームの中で固有名詞的にいう「立体交差駅」は、「秋葉原、西船橋駅などに多く見られる」駅舎。「A9V2」(2012年12月7日)で追加された。駅舎の大きさが固定で、ホームの長さや番線数を変えることができない。この仕様のせいで、どうにもこうにも秋葉原分倍河原にしか見えないという難点がある。なお、実際の秋葉原駅では「上野東京ライン」の線路も通っている東北縦貫線の工事より前から留置線があった)。

駅の周囲の「地形編集」と組み合わせれば、傾斜地に半分埋まったようなかたちで下の階のホームを地平や掘割にあるように見せたり、上の階のホームが「3階」ではなく「2階」にあるように見せたりできるだろう。「地形編集」を美しく行なうには「グリッド」に合わせる必要がある。「グリッド」を表示させて、線路や駅の位置や向きを決めよう。「グリッド」に対して斜めになっていると「地形編集」の結果がぎざぎざしてしまって美しくない。線路の向きを斜めではなく東西または南北にまっすぐにしよう。

「A9V2」の製品情報で名指しで言及された西船橋駅だが、このゲームで西船橋駅を表現できるだけの実装は出揃っていない。また、過去の「A6」「A21C」にあった「高架駅複合型都市大(2階建ての駅)」も、「A9」ではできなくなって、それっきりである。駅舎という箱を真っ先にぼんと置かせる操作方法は融通が利かない。「立体交差駅」という呼び方に過度にこだわると、「立体交差駅」さえできればなんでもできるかのような(できることをぜんぶやった、このゲームはなんでもできるゲームだという)錯覚(万能感)に陥る。好きな角度で交差でき、交差させるホームのそれぞれを好きな番線数や長さにでき、ホームなしの線路も通すことができ、それに応じた駅舎がその場で適当に「まとわりつく」(中身の大きさに応じた外側のカバーがつく)といった順番での考え方や実装、それに操作方法(UI)に洗練されていくことを期待する。せっかく線路を高い自由度で引けるのだから、引いた線路に沿ってホームができ、階段をつけ、通路をつけ、駅舎をつけるというボトムアップな操作をさせるようにすれば、曲線ホームも実現できてくる。千葉の鉄道を描き出すゲームとして、大網駅を表現できるようになれば申し分ない。

なお、実際の「立体交差駅」には、通路階段狭小であったり複雑で乗り換えわかりにくいバリアフリー化が遅れたといった負のイメージが強いことを申し添えておく。


線路の立体交差

ここで着目する立体交差とは、路線の分岐・合流にともなうもので、高架やトンネルの構造が造られたものである。築堤と橋りょうのみからなるもの互いに関係のない線路同士が単に交差しているものは含まない。

平面交差

線路の平面交差は、ダイヤの自由度を大幅に狭めてしまう厄介者だが、土地の制約によってこうしかできない箇所では、平面交差を使う。平面交差だからいけないというものではない。

立体交差

線路の立体交差は、国鉄の歴史でいうと「58X(ごーぱーえっくす)」の実施に向けた時期にさかんに造られた。その後の状況の変化で使われなくなった線路も多い。民営化に際して線路資産が旅客鉄道への帰属となった箇所では、撤去されるでもなくそのまま存置されている。ここでは東京近郊の線路だけを紹介するが、名古屋の南方貨物線や北海道の千歳線なども興味深い構造を有していることを書き添えておきたい。これらは青函トンネルおよび瀬戸大橋とも一体の遠大な計画だったが、青函トンネルの工事の遅れとオイルショックにより未完成に終わったり旅客線に転用されたりしたのである。この時代のさまざまな計画がどのように遅延したり縮小されていったりしたかについては東北新幹線の沿革からもよくわかるだろう

線路の立体交差の種類
高架斜めに跨ぐため構造物の形状が独特
トンネル単線のものが多い

線路の立体交差は狭隘な線路敷に収めるための構造の工夫が見どころである。線路の上を線路がまたぐ都合上、一般の高架橋のようなコンクリートの柱や桁ではなく鋼製の部材が多用される。鋼製の部材はコンクリートとは異なり定期的な塗装が必要で、場所や年代により塗装の色がいろいろ。沿線の景色のワンポイントになってくる。

貨物線が旅客化されたという性格のある箇所は現役で多くの電車が走り、乗車して観察することもできて楽しい。工場の引き込み線が高架で本線を跨ぐ箇所もあるという。高円寺駅や市川駅の高架もコンクリートではなく鋼製で独特の景観を成している。建設時期により工法や部材のトレンドがある。大正期まではレンガをふつうに使っていた。レンガというとレトロで蒸気機関車(SL)を連想するかもしれないが、実は京成電車のそこかしこにレンガが使われている。明治後期から大正期にかけて続々と開通した電車こそ、レンガなのである。有楽町駅神田付近のレンガの構造物も、汽車ではなく電車のもの。「A列車で行こう9」には神田付近などのレンガ高架橋に見える構造物が登場するがアイテム名は「アーチ橋」で「石を積み重ねた橋桁」「歴史あるローカル線に見られ」と説明され、レンガであるということをいっさい述べないほか、架線柱をつけることはできない仕様にされている。制作陣の不勉強を疑うとともに、色覚特性に由来して「レンガ」と「石」を区別しないという奇異な態度が生じているのではないかと思っておく。

※「歴史あるローカル線に見られ」という説明は、九州の炭鉱のイメージだろうとは思う。しかし炭鉱に関連する路線は最盛期には花形であり「ローカル線」と形容するのは適当でない。「石を積み重ねた橋桁」という説明は、日本の近代化の中で、瓦を焼く技術の応用でレンガを製造し、石垣や石積みの橋を造る技術の応用で鉄道の土木構造物が建設されていったことを、ごちゃ混ぜに理解したものと思う。「アーチ橋」は「アーチ」という構造によって、その上部に橋の機能を出現させるもので、「橋桁」というパーツを載せるわけではない。この点については佐倉市内などに遺る「レンガ橋台」との混同があるように思われる。もっと単なる言葉尻(聞き間違いや言い間違いのレベル)として「ローカル線」と「レトロ」の混同もあるかもしれない。レンガを使うということは第一に近代化の象徴であり、第二に規格化の方法であり、第三に先進地・東京のイメージを摂取するものである。「ローカル線」とは、せいぜい小川に板を渡し、地面に線路を敷いただけのような、大がかりな土木構造物をほとんど必要とせずに開通した路線をいう。開通がたやすければ廃止もたやすいのだ。


いわゆる立体交差化(道路と線路の)

線路と道路では線路のほうがたいへんなので、線路に視点を置いた呼び方をする。踏切の新設は原則として認められない。

オーバーパスの道路と直結した橋上駅舎」のような組合せを考えていくと無限の楽しみが出てくる。

地形編集」で掘割や築堤をつくりたいときも「グリッド」に合わせよう。

高速道路と河川と地下鉄も合わせた「桜木町五重交差工事」は有名である。横浜市内ではこのほかにも道路のトンネルや地下鉄の駅の上の地上部を公園にする「立体都市公園」など、事例の宝庫である。




道路の「立体交差」(インターチェンジ)

このゲームの中で固有名詞的にいう「立体交差」は、道路のインターチェンジ。地平の一般道から、高架の有料道路や自動車専用道路などに出入りするもの。ゲームの中で道路には種類がないけれど、インターチェンジを設置することによって、それっぽい雰囲気を出すことができる。「道路」の「特殊建設」から選んで設置する

単に道路と道路を立体的に(高架で)交差させるだけなら「道路敷設」の範囲。好きなように道路を引いて、好きなように交差させればよい。そのことと紛らわしいので、インターチェンジはインターチェンジと呼んでほしかった。

ネットでは「立体交差」をちゃちなおもちゃと断じ「道路敷設」で好き放題にインターチェンジや巨大なジャンクションを描いてみせるというもの(ゲームに用意された「立体交差」より本物っぽい道路をつくる遊び)が散見されるが、ゲーム上の意味がない、まったくの“お絵かき”である。それをするのに適したゲームが、もっとほかにあるだろう。能動的にゲームを選びたい。

Switch版「A列車で行こう はじまる観光計画」では自動車のカスタムが実装された。これをプレーヤーが1つずつぽちぽちと操作してようやく1台の自動車がよちよちと走り出すのでなく、プログラムでランダムなパラメータを自動で与えて無数の自動車を道路にひしめかせる「NPV」(Non-Player Vehicle)の実装につなげられるだろうし、そのために前もって実装したものでもあるだろう。

「ゲーム内で道路の幅は1種類のままでも、柵にバリエーションがあれば道路の管理者の違いを演出できる」「プレーヤーにぽちぽちと配置させるばかりでなく、交通量や車種に応じて自動決定されるという実装もありうる」「情報を「外観の変化で表示する」という考え方から「駐輪場」「立体駐車場」「タクシープール」の新たな使い方(ゲーム内での効果の持たせ方)を考えていくことができる」という考え方もできる。あなたはどう考えるだろうか。ゲームの中の珍妙な、あるいはないものだらけの表現をうのみにしないで、よく考えるようにしてほしい。


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