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貨物と回送を含めたA列車での列番のつけ方の考え方。所属区と「限定運用」(受益者負担の原則)。「超過密ダイヤ」はクローズアップ現代のこと。(最終更新:2024年3月29日)


列車番号(列番)のつけ方をじぶんで決める

いきなりむやみに現実の鉄道会社の通りにしようとせず、理屈をじぶんで考えることが大切です。何もないところから理屈ができあがるまでの過程を追体験してから実際の各社のダイヤグラムを見ると「なるほど」と思えます。

ここで、わたしがこの項の見出しを「列車番号(列番)のつけ方」ではなく「~をじぶんで決める」としたことの意味をじゅうぶんによく考えてください。あなた自身が、これからしようと思うことについて「なになに方(なになにのやり方・作り方)」を調べたり、それを友だちに教えたりするときにも、「なになに方」そのものではなく、「~をじぶんで決める」ということについてよく考えよく話し合うようにしてください。

ゲームの中であなたがすることには、あなた自身が責任を持たなければならず、ほかの誰も代わりになることはできないのだということを理解して臨みましょう。誰かが“正解”を教えてくれて、それに忠実であればよいのだという態度は捨てましょう。このことじたいが現実の鉄道会社の通りともいえます。「列車番号(列番)のつけ方」までは法令での定めがなく、各社が自社の責任で決めているのです。この重みを理解して、その一端を体験する機会にしましょう。表面的な「列車番号(列番)のつけ方」だけに終始することなく、法令と会社のありようを理解するところまで着実につなげましょう。

「車庫」という呼び方の話とも共通しますが、「列車番号(列番)のつけ方」に関しても、ある鉄道会社と別の鉄道会社とで考えが違うという場合に、どちらかが正しくて他方は間違っているというものではありません。どのような考えを採るとしても自社のこと。他社との間に何らの優劣もありません。
新幹線ではATCを使用しなければ(新幹線らしい速度での)運転ができないため「お召し列車」にも必ず列車番号が設定されなければならないという理屈が読み取れます。
新交通システムの車両では正面(前面)に車両(編成)の番号が大きく表記されています。交通新聞社「マイライン東京時刻表」で確認する限り、「ゆりかもめ」「横浜シーサイドライン」「埼玉新都市交通 伊奈線〈ニューシャトル〉」「東京モノレール 羽田空港線」「多摩都市モノレール」「千葉都市モノレール」と「西武鉄道 山口線〈レオライナー〉」には列車番号がありますが「都電荒川線」「山万〈ユーカリが丘線〉」「舞浜リゾートライン〈ディズニーリゾートライン〉」には列車番号はありません。「東急世田谷線」の列車番号は6桁です。

所属区と「限定運用」(受益者負担の原則)

ゲーム「A列車で行こう9」にはJR東日本の車両がたくさん登場するので、JR東日本の例を見ていくのが楽しいと思います。JR東日本の国電区間(「E電」)では、列車番号(列番)の末尾に「A」「B」「C」や「K」や「F」や「S」などのアルファベット1文字が付加されています。これは車両の所属区を表わしていたり、相互直通運転での運転の区間や方向などを表わしています。詳しくはウィキペディアで調べてみてください。

現在はだいぶ変わっていますが、中央・総武線(各駅停車)には「A運用」「B運用」「C運用」があり、それぞれ三鷹、中野、習志野(津田沼)の電車区が受け持つ運用でした。深夜・早朝に三鷹より西の中央線を走る運用があり、6扉車をラッシュ時に最混雑区間で走らせるための運用もありました。全線で同じ見た目の車両が走っていますが、実はいろいろな種類があり、ものすごく繊細に適材適所での活躍となるように運用が組まれていたと思います。このことはむしろ、新型車両(『幅広車両』の「209系500番台」「E231系」)が導入される前の車両を見ると、よくわかるでしょう。加減速の応答性がよく“省エネ”の「201系」がラッシュ時に活躍していましたし、わずか数本しかなかった「205系」も、ここぞというところだけに走っていて、千葉のほうではほとんど見かけなかったりしたものです。低騒音であることを活かして、線路に迫って民家が建ち並ぶ中央線を深夜・早朝を中心に走っていたのかもしれませんが、総武線のユーザーとしては見る機会がありませんでした。このように特定の車両を狭い範囲で走らせるためにほかの運用(行路)とは分けてあるものを「限定運用」と呼ぶようです。ただし、この「限定運用」とだけ唐突にいう言いかたは鉄道趣味の界隈に特有のもので、本来は「なになに(に)限定(した)運用(とする)」という文章になっているものです。あたかも「限定運用」という業界用語があるかのようには思わないようにしてください。

中央・総武線(各駅停車)は『幅広車両』が最初に投入された「E電」で、このために電車区の中で架線柱などが支障する箇所を大急ぎで解消したといったニュースもありました。国電の車庫は、用地の確保がきわめて困難な都心部に設けざるを得ないことから、電車区の中の建築限界はぎりぎりまで切り詰められていて、『幅広車両』が入れるものではなかったのです。当初は架線柱などの耐用年数を待って順次、対応する予定だったのでしょうが、営業運転中の「103系」の配電盤が破裂する事故を受けて『幅広車両』の投入計画が大幅に前倒しになったのでした。三鷹、中野、習志野(津田沼)の電車区は、単に車庫が3箇所にあるというのではなく、それぞれ根拠となる法令や原資(費用の負担者)が異なるようです。習志野(津田沼)は「千葉県民の足」として千葉県の負担で、三鷹は「東京都民の足」として東京都の負担で、「中野」は「山手線内」を走る分として、首都圏整備法などを根拠に国が支出していたのではないかと思いますが、なにぶん古い話なので文献を探すのが面倒です。そして、基本的な考え方はそういうことであっても、実際に確保できた土地の広さは必ずしも東京都と千葉県と国(※東京都と千葉県以外の都道府県)の負担すべき割合を反映したものになるわけでなく、車庫の広さつまり所属する車両数の過不足の分は、車両を貸し借りすることで精算するという考え方になっているようです。りんかい線は東京都の持ち物なので、京葉線の分割編成は総武線を経由して回送するしかないわけです。

※都道府県によって最低賃金が異なります。深夜・早朝の割増賃金は額ではなく率で定められていますので、最低賃金が高いところではより多くの割増賃金を払うことになります。都内で深夜・早朝に人を働かせることは相当に割高です。初電から終電まで営業していないといけない駅は別として、都内に立地せざるを得ない車両基地では終業を早く、始業を遅くしたいのではないでしょうか。千葉県と東京都との間の精算としての車両の貸し出しを深夜・早朝に行ない、駅に滞泊させるというのは、そういうことだったのではないでしょうか。泥臭いけれども、うまいことを考えた人がいたものです。

A列車での列番のつけ方の考え方

  1. ゲーム内で保有する列車の編成番号(「Train」リストでの番号)をそのまま使う
  2. 上り・下りがはっきりしないマップでは南行と北行東行と西行などを記号で付す
  3. 旅客列車は出発時刻(折返して発車する最初の駅の発車時刻)の「時」を24時間制で付す(5桁)
  4. 貨物列車には時間も記号も付けない(JR貨物では4桁だが「Train」リストでの番号をそのまま使う)
  5. 回送列車「回」を頭に付ける(営業列車と続きの行路なら列番は同じにする)

A列車での列番のつけ方は、完全にあなたが自分の責任で決めるべきことですが、だいたいこんな感じにすればミスが少なくてよいだろうとか、たぶんみんなこんな感じにするんじゃないかなというベストプラクティスは存在します。ベストプラクティスが存在することを知らないまま試行錯誤に多大な時間を費やすのは無駄の極み。ベストプラクティスが存在することを知っていながらわざとそれに反することをしようとするのは愚者の極み。およそどんなことにもベストプラクティスというものは存在するはずだと考えてよく、きっと存在しているであろうベストプラクティスを探そうともしないのは無知蒙昧の極み。乗らば巨人の肩の上とはいいませんが、巨人の肩の上で正しく楽をしようではありませんか。

色の使い方の考え方

「OuDia」でダイヤグラムを描くときは、線の色はむやみに増やさず破線や太線を使い分けましょう。東京や大阪の私鉄のように細かい種別をたくさん設定する場合でも、運転曲線などに即したおおまかな分類だけを線のスタイルで示し、種別そのものは文字で記載しましょう。罫は薄い灰色にしましょう。背景は必ず白にします。左端を午前3時にしましょう。列車の運行は概ね午前4時半から翌日午前1時までに収めます。

ダイヤグラムのほかに「停車駅案内図」などの作成に凝る人もいますが、「停車駅案内図」で種別ごとに色分けした色の通りにダイヤグラムの線も色分けしようとするのはやめたほうがよいでしょう。一般に、図表の体裁を決めるに際しては、例えばモノクロのコピー機にかけても判別できるように描くといったことが1つの基準になります。色分けする場合も、例えば暗い所や照明器具の演色性が低い所(水銀灯やナトリウムランプ)、逆に日中の直射日光のもとで見たときなどに色が判別できなくても困らないよう、補助的な使用に留めることも大切です。この意味でも、コントラストが最大となるよう背景は白、文字や線は黒にするのが絶対の基本です。色分けする場合は、色分けの1つとしては黒という色を用いない有彩色のみを用いる)ようにします。小中学校の自由研究から高校の理数探究、大学の卒業論文まで、図表(図版)やポスター、スライドなどの作成に際して必ず同じ注意を受けることになりますので、ぜひ覚えておいてください。

運用(交番)

同じ番号の車両(編成)がずっと同じ行路を走り続けるダイヤ(同じ時刻・同じ位置には毎日必ず同じ編成がやってくるダイヤ)でも、ゲームとしては何も問題ありませんが、「食後のデザート」がきょうもプリンであしたもプリンすれ違う車両がいつもまったく同じというつまらなさがあります。車両と行路が1:1で結びついたダイヤは「運用のないダイヤ」「交番しないダイヤ」といえます。

※「A列車で行こう9」で「交番するダイヤ」にするモチベーションは、すれ違う車両の種類がいろいろ変わるようにするという映像表現にあるので、見た目がまったく同じ車両で交番させるのは完全な自己満足で、動画などを見せられる他人にはまったく意味のないことです。
※保有車両が数えるほどしかなく、恒常的にはローテーションを組まず、車両の検査の時だけ特別に代わりの車両を手配するような零細の事業者も存在するでしょう。運用(交番)は、保有車両の検査と営業運転を効率化する必要のある中小以上の事業者ならではの工夫です。なお、車両を営業運転に投入することを指して「運用」という言葉を使う狭い意味の用法もあります。この意味での「運用されていない車両」は「休車」や「保留車」と呼ばれます。
※動画のタイトルに「車両運用に挑戦」というものがありました。「資産運用」になぞらえて理解したのでしょうが、鉄道でいう「運用」のニュアンスからは離れてしまいます。「運」という漢字を漢和辞典で引いてみましょう。単に「(眠らせておかず)動かす」という意味のほかに「(行きわたるよう)めぐらす」という意味があります。「資産運用」は「お金を眠らせておかず動かす」という意味ですが、鉄道でいう「運用」は「車両が行きわたるようめぐらす」という意味になり、言わんとすることがだいぶ違います。「A列車で行こう9」というゲームの中では確かに「やらなくてもいいこと(に挑戦する)」というテイストにはなりますが、鉄道の「運用」はもともと「あたりまえのこと」。「資産運用」で「リスクを取る」かのようなニュアンスを帯びた「車両運用に挑戦」というタイトルにしてしまうのはおかしいでしょう。

交番しないダイヤを組んでから部分的に交番する列車もつくるとき、交番しないダイヤだったときに付けた列車番号をそのまま使うと混乱が少ないでしょう。「A列車で行こう9」で「交番」というと、すぐに山手線のような非常におおがかりな「交番」を『再現』しようとしてしまう人がいますが、それはちょっと待ってください。山手線は特別すぎます。1つの電車区の中でも、すべての車両を単一のローテーションに放り込むばかりが「運用」なのではありません。所属する車両をいくつかのグループに分け、比較的小さなグループごとに、その中で「交番」するということでも『リアル』です。運転の速度が異なる線区への乗り入れや長丁場となる行路がある運用(一定の走行距離ごとに受ける検査の周期が短くなる)や、海沿いを走り潮風を浴びる運用とそうでない運用との違い(車両洗浄の頻度が異なる)など、マップの特徴を活かしたストーリーを設定して、運用(交番)にリアリティを与えましょう。

このゲームでは最大300編成(「00」~「99」、「100」~「199」、「200」~「299」)の列車を保有できますが、この番号を列車番号(列番)としても使うことも考えて、先に「00~99でJR線みたいな路線をつくる」「100~199の下2桁を列番に使って別の路線をつくる」「90以降の番号は貨物列車で使う」というふうに決めておくとよいでしょう。使う番号は飛んでいてもかまいません。慣れるまでは、数字が2桁で見やすい100編成までの設定で遊ぶことをおすすめします。100編成まで保有できるからといって、100編成すべてを走らせるとゲームの動作が重くなります。実際に走らせるのは40編成くらいに留めておきましょう。1路線に8編成を投入するくらいがちょうどよい「A列車で行こう9」では、そのうちの2編成を「限定運用」に、残りは3編成ずつ「交番」する「運用」にするということで、じゅうぶんに満喫できるはず。「A列車で行こう9」では「操車場」は7番線までできますが「車庫」は2番線や4番線に固定されています。この番線の数を念頭に「運用」をつくっていきましょう。「15パズル」には空きのマスが必ず1つあるといいます。操車場や車庫の番線数は、所属する車両より多くないと「入換」ができません。いわゆるデッドロックを車両基地の中で起こしていては話になりません。

※むやみに車両や番線の数を大きくする人がいますが、基本の組合せを楽しめばじゅうぶんという考え方もあります。「公倍数」は無限に(?)ありますが、そのうち「最小公倍数」だけを知ればじゅうぶんということです。いわゆるコンプリート(『やりこみ』)を目指すつもりでゲームを進めるにしても、列車を100編成や300編成ぜんぶ走らせようとすることよりは、車庫の種類をぜんぶ使ってみるといった基本的なことを優先しましょう。同じものをいくつも並べて大きく見せるのは、「最小公倍数」だけを知ればいいのに「すべての公倍数」を手書きで列挙していこうとするような無謀な行動だと思います。

超過密ダイヤ

「超過密ダイヤ」という言葉はNHK「クローズアップ現代」のスタッフが日立製作所「ATOS」の技報のタイトルから着想して考案したと思しきオリジナルの言葉(造語というかダジャレ)。1999年7月14日に放送されたこの番組で、「~もろい超過密ダイヤ~」というサブタイトルのかたちで使われたもの。若者が使う「『超』なになに」という言葉に顔をしかめる大人が大半だった当時。さらに電車や駅のアナウンスで使われる「なになに『と』、なります」という言い回しにも疑義が呈されていた中、キャスターに「『超』過密と、なります」と言わせるアグレッシブな番組。もはや懐かしい思い出であります。なお、1999年3月の日立評論では「超高密度」という表現ですが、これは山手線・京浜東北線を言ったもので、中央線は「稠密」なのでございます。


ゲーム雑誌「ログイン」1994年2月4日号(No.3)の特集「極めよ! A.IV.道!!」で「複線区間で超過密ダイヤを再現」という用例があるが、「超過密ダイヤとは」という確たる定義を示しての用例ではなく、プロスポーツのリーグ戦の移動の日程を報じるスポーツ紙のノリ(「過密なスケジュール」という表現に対してのアドホックな強調表現「超過密スケジュール」)しかなかったといえる。ここでは典拠が確かであるクローズアップ現代の用例を初出と認識しておく。「超過密ダイヤ」という表現に「ニッポンすごい」「東京すごい」というニュアンスはなく、遅延が慢性化した路線への不満もしくは諦観を示す表現であることに留意されたい。ゲームの中で「超過密ダイヤを再現」したとして、いくらかの共感は呼べるかもしれないが、よいアピールにはならない。ウルトラC難度の高い技を決めたかのように「超過密ダイヤ」というタグをつけて宣伝するのはみっともない。…それでも電車はきょうも走る


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