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「A列車で行こう9 評価」への答え:「A列車で行こう9」は16,800円。価格相応の態度で臨もう。「A列車で行こう4 for Windows」の恐るべき知名度とは。(最終更新:2024年10月10日)
本作はPCゲームである。コンシューマー機、特に近年の携帯ゲーム機でA列車で行こうシリーズを知ったゲーマーの客はまず知らないだろうが、本作はコンパックのWindows機へのプリインストールで高い知名度と評判(日経BPの雑誌の賞)を得て、その後もベクターやソースネクストなどの販路やレトロゲームをエミュレーションで提供するサービスを通じて非常に長期にわたってファンを増やしてきた作品である。本作のファンには、本作のほかにはゲームソフトをまったく買わない客が少なくない。本作をゲーム(娯楽)だとは思っていない客もいるだろう。コンパックへのプリインストールも、もともとは「エデュティメント」(知育ソフト)という位置づけで始まったようである。一言で言えば「教育的」なコンテンツである。
本作が自称する「都市開発鉄道シミュレーション」というジャンルの呼称ではよくわからないというかまったくわからないが、本作は産業連関表の考え方(数学の「行列」の計算)を理解することが暗黙の前提になっている。本作の公式ガイドブックが使う「乗客発生時間帯」や「パワー」という用語ではよくわからないというかむしろわからなくされるという感じがあるが、本作は産業連関表(もどき)に基づいて乗客数が推定されてくるのにあわせて適切な輸送計画を立案・実施してみせるゲームになっている。遊ぶ側にも相応の素養が要求される。もちろん、それは本作を通じて磨いたり培ったり伸ばしたりしていけばよいことなので、始める前から熟知している必要はない。この意味でも「教育的」なコンテンツである。
「A列車で行こう4 for Windows」がプリインストールされていた時期のコンパックのPCは、いくら「激安」とはいえ遊びで買うものではなく、仕事に使うPCを自腹で買う自営業者や自己研鑽に励む技術者や教員など「手堅い」もしくは「お堅い」職業の人が買うものであった。A列車で行こうシリーズがWindowsに対応する前の時期には「信長の野望」や「大戦略」などのゲームと同じジャンルのゲームとして認知されていた面もあるが、その時期にその認識で本作を手に取った人より、コンパックのPCを買ったらついてきたという人のほうが、数としては圧倒的に多いのである。なにしろコンパックのPCを買ったらついてきたので、自分で買ったという認識や、ゲームソフトを買ったという意識が非常に希薄なのである。
本作の定価は16,800円である。販売本数の数字を稼ぐためだけに500円でたたき売りされた3DS版から入ったプレーヤーには、ゲームとしては特殊な状況であることを承知の上で本作に臨んでほしい。本作に臨むときは、ゲーマーとしての少しワルい感じのノリは封印してほしい。16,800円という定価に見合わない態度のプレー動画やSNSの類は、これまでA列車で行こうシリーズを買い支えてきた「手堅い」もしくは「お堅い」職業の人を愚弄するものである。また、「A列車で行こうシリーズは鉄道マニアしか買わない変なもの」という決めつけから一方的に見下した感じの態度を取るのは論外だ。むしろ鉄道マニアこそ本作はスルーだろう。本作以外にはゲームソフトを買わないというほど普通の人が普通に買うのが本作なのだ。
※酒もタバコもやらず本作以外にはゲームソフトを買わないなら16,800円という価格はどうということはない。本作をプレーできるようなスペックのPCをすでに持っているという前提がある。本作をプレーするためにPCを買おうというのは話の順番として間違っている。
※昔のことを知らない人ほど「A列車で行こう」シリーズを「マイナー」と決めてかかる傾向があるが、日経BPが賞に選んだものを「マイナー」と決めつけるのは難しい。もちろん、これは過去の栄光であって、将来への期待は何もなく、現在はそこまでではないという言いかたはできる。
※PS4というプラットフォームで発売されるゲームは大なり小なり「マイナー」な感じや「マニアック」な感じがあるものだという了解があって、ことさらに本作だけをどうこうとは思わない人のほうが多いだろう。PS4のストアに並んでいたら思わず買ってしまう。
※16,800円という価格を高いと感じる年齢やライフスタイルの人ほど、本作を「マイナー」と断じて、だから自分は買わなくていいというふうに正当化する材料にしている感じもある。逆にいえば、多くの人にそこまでの態度を取らせるほど本作には何とも言えない魅力がある。
※自分にとっては難しいという意味で「マニア向け」と評する人もいるが、本作の難しさの正体は「マニア向け」というよりは「大学生向け」といったもの。3Dの空間把握ができ、抽象的な思考ができることが暗黙の前提になっている。遊ぶための勉強を毛嫌いする人には向かない。
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