クリエイティブに言い訳なし:業界標準のソフトは教材が充実。遊びでもプロの技を追求しよう。本質的な試行錯誤に時間を割こう。【学割は大学生協で!】(最終更新:2025年11月10日)
プレーヤーが思い思いに描いてインターネットにアップした「路線図」には、本当にいろいろなものがあって、1つ1つがかけがえのないものです。ただ、技術的な拙さがある場合には、それを指摘せざるを得ません。少なくとも「A列車で行こう9」というゲームをプレーするほどにも技術とともに生きるわたしたちには、技術や技術に対する期待や信頼の水準を保とうとする責務があります。「どうせゲームだからこのくらいでいいや」「みんな素人だから難しいことはわからなくて当然」「そんな細かいことは誰も気にしないよ」といった風潮が蔓延しないように努めるべきです。
なお、ゲーム「A列車で行こう9」はWindowsで動くソフトですからWindowsを念頭にしますが、デザインをする人にとってWindowsは決して主流でないことは承知しておく必要があります。Windowsや、Windowsで動くフリーソフトだけを使っていろいろなことができますが、「有償の業界標準のソフト」(※「Adobe Illustrator」)の操作性にはかないません。自宅や学校(ただし美術系でない)のPCに入っているソフトだけで何とかしようとするばかりでなく、本職のプロとなるべく同じ道具を揃えよう、あるいはわけあって道具は簡易的なものだけれど使い方は徹底してプロを真似ようという考えも大切です。
表計算ソフトの「Excel(エクセル)」を使って描き、最終的に「プリントスクリーン」(スクリーンショット)して「ペイント」に貼り付け、画像ファイルにして保存するという流れでは、「Excel」でセルの塗りつぶし(背景色)に頼って路線を描こうとする人がいますが、これはいけません。「Excel」を使う場合でも、線は「線」のツールを使って引きましょう。水平と垂直だけでなく任意の角度の線が自由に引けますし、線の太さや点線(破線)などのスタイルを変えるのも容易です。(「パワーポイント」を使う場合は、最初からそうするでしょう。)
※文句なしにプロの道具である「Adobe Illustrator」という製品名をカタカナで「イラストレーター」と表記したり「イラレ」と勝手に略すことはなるべく避けましょう。「Adobe Illustrator」のスペルも覚えられずに「Adobe Illustrator」を使う資格があるでしょうか。一方、「エクセル」や「パワーポイント」をカタカナで書いて紹介することは、これらが一般向けで、小学生にも使わせるソフトウェアであることから、やむを得ないといえます。
あくまでお遊びとしてはフリーソフトでじゅうぶんですから「レイヤー機能」が使えるグラフィックソフトを使いこなしてほしいものです。「レイヤー機能」をうまく使おうとしていけば、1枚の図が完成するまでのいろいろな工程を明示的に分けて考える考え方が身に付き、図の描き方(作り方)が非常に洗練されていくでしょう。少なくとも「プリクラ」を「デコ」するかのように、キャプチャしたゲーム画面そのままの画像に「ペン」のツールで(フリーハンドで)何かを描き加えるといったことは避けるようにしましょう。
※プリンターやカラーコピーの出力(紙)をスマホのカメラで撮影してSNSの類にアップロードするようなことをしていては信用を落としてしまいます。描き手としては図書館用堅牢製本デジタルで描いた絵はデジタルなままキレイに見てもらいたいと考えるもの。フリーランスなど立場の弱い描き手が発注者を信用できない場合に自衛としてデジタルのファイルは渡さずあえて紙で渡すということがあるかと思います。そのようにして渡された紙は、その場で見るほかは一切の利用を描き手として承諾していないという形になります。それを黙ってSNSの類にアップロードして描き手には1円も支払わない会社なのではないかと疑われてしまいます。描き手と適切な間合いコミュニケーションを図って健全な信頼関係を築いてください。
なお、「路線図作成ソフト」を名乗る製品もありますが、これは会社やお店が案内図を手早く作るためのもの。本物の路線図をお手本にしながら、案内に必要な部分だけを抜粋し、本物の路線図のデザインに関する権利を侵害しないよう、適当にオリジナルとは異なるデザインにすることが目的のツールです。わたしたちがゲーム「A列車で行こう」シリーズで遊びながら、路線図の完成形がまったく見えていない状態から試行錯誤的に使うには不向きです。わたしたちは自分の力でゼロからデザインに取り組む必要があります。わたしたちが「路線図」を描くとき、それは仕事ではありません。好きなだけ時間をかけて、いくらでも試行錯誤をして、その過程そのものを楽しみましょう。「A列車で行こう9」で「路線図」が「うまく描けない」。それは格好のトークのテーマになります。「うまく描けない」から人には見せられない(人に見せるものを締切までに用意できない!)などと焦るのでなく、「うまく描けない」という話そのもので盛り上がりましょう!
※ゲーム「A列車で行こう」シリーズからは離れる話ですが、一般に、あなたが実在の路線の「路線図」を描くときは、あなた自身の目的(※道案内や通勤経路の届出)に照らして必要な範囲を抜粋・要約した図を描く必要があります。鉄道会社が掲出する路線図そのもののような図(しかも勝手な体裁で色もきれいではない)を描くことは控えましょう。ツールの使用例(作例)を示す目的では、架空の内容にしたほうがベターです。SNS上では、鉄道会社の公式サイトから取ってきたと見受けられる路線図の画像にメモやコメントなど勝手な書き込みをしたものや、勝手に一部分を削除したり色を変えたりしたものが公然とアップロードされていますが、これはNGです。商標や同一性保持権の問題だけでなく、情報検索の時代には「検索ノイズ」となってしまい、本来の路線図を探したいユーザーのじゃまをしてしまいます。
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